シャープは家庭向けLED(発光ダイオード)電球の発売開始を、当初予定の2009年7月15日から8月以降に延期した。4000円前後という価格設定が既存の商品よりかなり安く、予想を上回る注文があったためだ。長寿命で省エネのLED照明の需要の高まりを証明したもので、今後一気に普及が加速する可能性もある。
寿命は4万時間
LED電球は従来の白熱電球よりも長寿命で、消費電力も少なく、次世代の照明として注目されている。09年春から白熱電球と代替可能な家庭向け製品が発売されているが、1個1万円を超える高価格が普及へのネックになっていた。
そんな中シャープが6月11日、1個4000円前後と、従来製品よりも半分以上安い価格帯のLED電球を7月15日から発売する、と発表した。
白熱電球の寿命が1000時間で、実売価格は約100円。それに対してLED電球は、寿命は4万時間なので、価格も40倍4000円なら消費者に受け入れられる、と考えたと同社広報はいう。電気代1円で11時間使用できるモデルもあり、数字を見る限りだとかなり経済的だ。
発表後同社には注文が殺到、発売を延期することになった。4000円前後の4モデルを8月1日に、調光器対応などの機能を付けた5500円~8000円の上位モデルを9月1日に発売するとしている。
ライバルの東芝ライテックも「値下げ」
シャープの参入を受けて大幅な価格見直しを行ったのが、ライバルの東芝ライテックだ。そもそも同社は3月、他社に先駆けて白熱電球代替型LED電球を発売。白熱電球40Wサイズ相当のモデルを希望小売価格1万500円で売り出したが、シャープの発表から11日後の6月22日、同サイズで5250円となるモデルを7月15日に発売すると発表した。
同社によると発売当初から、LED電球は画期的ではあるものの、1個1万円となる高価格で主婦層が購入をためらい、一般家庭には普及しないという声が挙がっていた。だが、技術の蓄積と大幅なコストダウンにより、品質を落とさずに価格を半分にすることに成功したという。
同社広報担当者は、
「LEDの技術の進歩には目覚ましいものがあり、より明るく、より少ない電力で光るようになっています。一般にLEDは明るくないというイメージを持たれていますが、十分に明るいということが認知されれば普及も進み、価格も一層低くなっていくのではないかと思います」
と話している。
08年度の世界の照明市場は約9兆円で、そのうちLED照明はおよそ3000億円だが、12年度には照明市場が約11兆円に成長し、そのうちの約2割、2兆円以上がLED照明になるとの見方が出ている。