崩れるビール業界の4社体制
国内市場でキリンHDは、ビール類飲料ではキリンビールがアサヒビールとシェアで首位争いを演じる。09年1-6月期のビール類飲料の課税出荷数量シェアでは、キリンがアサヒを抜いて3年ぶりに首位に返り咲いた。一方のサントリーHDのサントリービールは2008年にサッポロビールを抜いて第3位に浮上した、いわば「勝ち組」企業だ。
しかし、海外には売上げで9兆3600億円を誇るネスレ(スイス)をはじめ、ユニリーバやペプシコ、クラフト・フーズ、コカ・コーラなどの世界規模の食品メーカーが目白押し。そこと伍していくには規模拡大は不可避。海外勢が世界的な金融危機の影響でもたついているうちに、先手を打ってグローバル市場での生き残りを図る。
経営統合は、まず両社の持ち株会社を統合して、その後傘下の事業会社を統合していく案が有力。実現すれば、ビールなどの酒類や清涼飲料の国内シェアは首位に立つ。
両社はこれまで、物流や資材調達など国内のさまざまな事業で協働を進めてきた。経営統合で、事業の効率化をさらに進めて収益力を高める。
なお、経営統合についてキリンHDは7月13日、「具体的に決定している事実はない」とのコメントを発表した。
また、サントリーHDは「現段階でお話できるようなことはなにもありません」と話しているが、非上場で同族経営の同社が経営統合に踏み切ることで、驚きの声があがっている。