任天堂は2009年冬に発売するゲーム「スーパーマリオブラザーズ」に、プレイヤーがゲーム攻略に行き詰まった際、「自動的に攻略してくれる機能」を搭載する。これに対し、ネット上では「難関を試行錯誤で突破するのがゲームの醍醐味ではないか」という批判が出ている。
「とうとうゲームにもゆとり教育」?
「スーパーマリオブラザーズ」といえば、世界で最も売れたゲームとしてギネス認定され、「スーパーマリオ」シリーズは全世界での販売本数が2億本というメガヒットを記録している。横スクロール型のアクションゲームで、ジャンプボタンを駆使し、数々の難所を乗り越え、攻略を進めていく。その新作「New スーパーマリオブラザーズ Wii」が2009年冬に家庭用ゲーム機「Wii」用で登場する。これに、なんとゲーム途中で行き詰まったときに、自動的にそのシーンをクリアしてくれる機能が付くのだという。
任天堂広報によると、ゲーム初心者やゲームが苦手な人の場合、難しいシーンに入るとゲームをやめたり、ゲームは自分に向かないと思ってしまう場合があるという。そうした「途中放棄」をなくし、最後まで楽しく遊んでもらうと、ゲーム攻略を補助してくれる機能を付けることになったのだそうだ。ただし、こうしたゲームを増やしていくかは未定だとしている。
しかし、長年の「スーパーマリオ」ファンやゲームファンの間からは、この機能に対し首を傾げる声がネットに大量に出ている。ゲームに難関があるのは当然で、それを試行錯誤しながらクリアを目指すのが醍醐味。人生と同じように、壁にぶつかったとして安易に「スキップ(跳ばし)」ができるとしたら、それは人生ではない、という理屈さえも唱えられている。
「とうとうゲームにもゆとり導入か・・・」
「そういう機能があるだけで一気につまらなくなりませんか」
「苦労して何かを手にいれるってのを 遊びとかからもなんとなく学んでるのに なんでもかんでもスキップしたら これからの日本やばくね?」
といった意見、見方がネットの掲示板やブログに書かれている。一方、「Wii」は子供からお年寄りまで遊んでいるゲーム機。ゲーム初心者が多いからしょうがない、という書き込みもある。
「今はネットで攻略を調べたり出来る」
もっとも、任天堂のゲーム機用ソフトでも、「ニンテンドーDS」で発売される大人気シリーズ「ドラクエ」の最新作「ドラゴンクエストIX 星空の守り人」(09年7月11日発売)は「スーパーマリオ」の新作とは違った考え方だ。
同ソフトのゲームデザイナー堀井雄二さんの座談会が任天堂の公式サイトに掲載されていて、「今回の新作は敵も強いし、あえて攻略を難しくしている」などと語っている。なぜ難しくしたかと言えば、今はネットで攻略を調べたり出来るし、直接人に攻略のしかたも聞ける。そういうことも「一種のゲーム」と考えているということだった。「ドラクエ」に詳しい人は初心者を助けてあげて欲しい、とも語っている。
「自分が強いキャラクターをその(ゲームの)なかに送り込んで、いっしょに戦って、助けることもできるんですね。そうすると、やっぱりドラマが生まれると思うんです」