「カーシェアリング」に続々参入 駐車場、不動産、中古車販売…

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   愛車を手放し、代わりに1台の車を複数の会員が使う「カーシェアリング」の利用者が増えている。不況の影響もあって会員が1年で倍増した。成長市場と見込み、自動車関連会社の新規参入や事業拡大も相次いでいる。時間貸し駐車場「タイムズ」を運営するパーク24グループは都内拠点を2カ所から100カ所に拡大するほか、日産自動車の関連会社が参入する。中古車や外車のカーシェアリングも登場した。

「自動車不況」の救世主になる?

アウディジャパンも参入。対象車種の「アウディTT ロードスター」
アウディジャパンも参入。対象車種の「アウディTT ロードスター」

   時間貸し駐車場「タイムズ」を運営するパーク24グループは2009年3月24日付けでマツダレンタカーを買収し、同社のカーシェアリング「カーシェア24」を引き継いだ。タイムズを拠点とし、都内では7月10日現在2カ所で展開している。不況下でカーシェアリングの需要増を見込んで、8月までに六本木、青山、渋谷、日本橋など24エリア・100カ所に増やす、と7月9日に発表した。

   会員になれば、どの拠点でも借りられる。ただし、借りた場所に返さなければならない。コンパクトカーから外車、ハイブリッド車まで用意し、全部で200台規模になる予定だ。

   月額基本料に加えて、利用時間に応じた料金がかかる。月額基本料金は4000円のAプランと1000円のBプランがあり、Aプランは15分の利用で200円(Cクラス)、Bプランは300円かかる。頻繁に使う人はAプランの方がお得になる。ガソリン代や保険料はかからない。

   利用するには会員登録後、パソコンや携帯で予約する。あとは当日、借りる場所に行くだけだ。

   不況下で新しい車の乗り方として注目を集めているカーシェアリング。一方で、拡大すれば今以上に新車が売れなくなるという事態も招きかねない。

   これについて同社は、

「車を持っていない若者にもカーシェアリングで車の利便性を知ってもらえたら、将来、車の購入にもつながるのではないでしょうか」

とし、カーシェアリングが「自動車不況」の救世主になるかもしれないと期待は膨らむ。

   日産自動車のレンタカー事業を行う日産カーレンタルソリューションもカーシェアリングを09年7月27日から始める。横浜市中区管内に拠点を1カ所設けて、2台からスタートする。日産自動車の系列では初めての試みで、環境意識の高まりや自動車の利用意識の変化で、カーシェアリングは「成長市場」だとみて参入を決めた。利用状況に応じて台数、地域の拡大を検討する。一方で、本業のレンタカー事業と共食いになるという可能性もありそうだ。

   ところがマーケティング担当者は、

「短時間使うならカーシェアリングがお得ですが、長時間だとレンタカーの方が安くなるので、両方にニーズがあると思います」

と否定している。

住友不動産はアウディジャパンと提携

   カーシェアリングとは1台の自動車を複数の会員が共同で使う利用形態で、日本では1999年にオリックス自動車が始めた。

   レンタカーと似ているようだが、料金体系が大きく違う。レンタカーの場合は最低 6時間借りなければならないが、月額利用料と使った時間(距離)分の料金を払うカーシェアリングの場合、15分だけ借ることも可能だ。

   不況の影響もあり、ガソリン代や保険、駐車場代などの維持費が年間数十万円もかかる愛車を手放して、代わりにカーシェアリングを利用する人が増えている。交通バリアフリーや環境対策を推進する団体、交通エコロジー・モビリティ財団によると、09年1月時点でのカーシェアリングの会員は6396人で、前年に比べて97%増とおよそ2倍に増えた。

   異業種からの参入も相次いでいる。

   中古車販売のガリバーインターナショナルは、カーシェアリングサービス「Gulliverカーシェアメイト」を4月10日にスタートした。不動産賃貸管理会社と提携し、千葉県浦安市と市川市周辺の7つの賃貸マンションの駐車場内に車を置いている。7台あり、入居者以外でも利用できる。

   同社によると具体的な計画は立っていないが他の地域にも拡大したいとし、駐車場がある場所で模索中だ。広報担当者は、

「カーシェアリングに使っているのは中古車です。これを機に中古車に興味を持ってもらえたら・・・」

と話している。

   輸入車を利用して、プレミアム感を出したカーシェアリングも登場する。

   住友不動産はアウディジャパンと提携し、大規模複合再開発エリア泉ガーデン(東京都港区)でカーシェアリングサービス「アウディプレミアムカーシェアリング」を09年7月下旬から始める。同ガーデンに入居している富裕層や、テナントに入っている弁護士事務所、外資系金融機関など68社約6000人が対象。当初は3台を用意し、利用状況に応じて増やしていくそうだ。

   アウディファイナンシャルサービスは、将来的にアウディの顧客になり得る層が入居しているとみて、「ブランドを知ってもらい、新車の購入につなげたい」と意気込んでいる。

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