URLを書き込むだけでもアウト
URL書き込みだけでも処罰することについて、神奈川県警では、その可能性を示唆する。
「例えば、httpのhを取ればよいという考え方を許せば、法令の解釈で抜け道があるようなものです。違反とみなされれば、罪に問われることが考えられます」(少年捜査課)。
とはいえ、この問題に詳しい奥村徹弁護士によると、アドレスのURLを書き込んだだけで処罰すべきとする学説はない。このことから、大阪の弁護例では、リンクは張っていないなどとして、控訴審で無罪を主張している。
奥村弁護士は、「学者は、だれもそんなことを想定していなかったようです。私自身は、処罰の範囲が広がり過ぎるので、それは違うと考えています」と話す。
また、リンクを張ることについても、学説は賛否両論に分かれているという。リンクのクリックでワンクッション置いたとしても容易にわいせつサイトに行き着くというが可罰説。これに対し、不可罰説は、URLは単なる文字列で、わいせつサイトは画面上にはないことを指摘する。
リンクだけでの処罰について、奥村弁護士は、児童ポルノ以外でも摘発が広がりかねないと懸念を示す。「著作権の問題は、怖いと思っています。『リンクお断り』としているサイトのアドレスを引用したとしたら、著作権法違反の疑いで警察に捕まる可能性もないとは言えないからです」。ただし、現時点では、摘発例は聞いていないとしている。
警察の摘発は、今のところ、児童ポルノ目的の書き込みやサイト開設に限られている。しかし、今後は、2ちゃんねるなどの一般の掲示板にも、摘発が広がる可能性があるという。
「リンクだけで処罰する規定の条文は、作らなかったのでないんです。だから、はっきりしないんですよ。捜査に抵抗する利益が少ないので、警察は、好きなように解釈して摘発できる可能性があります。今回の例も、単純所持を禁じる児童ポルノ禁止法改正の動きのタイミングを狙ったとしか思えませんね」