シャープとソニーの合弁また延期 両社の関係は微妙に?

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   シャープとソニーが2009年6月末を期限に交渉を進めていた液晶パネル生産の共同出資会社の設立契約締結が延期になった。両社が交渉しているのは、シャープが大阪府堺市に建設中の薄型テレビ向け液晶パネルの最新鋭工場で、ソニーはシャープの同工場から液晶パネルを調達するため、シャープと共同出資会社を設立し、同工場の運営に参画することでシャープと08年2月に合意していた。シャープ首脳は「世界経済の変動を受け、ソニーの内部で詰めに時間がかかっている。でも基本路線は変わっていない。ソニーのキャッシュフローの問題で、先方からの回答を待っている状態だ」と解説する。

共同出資会社の設立も「10年3月まで」に1年先送り

   両社の出資比率はシャープが66%、ソニーが34%となることが既に内定しており、当初は08年9月末までに最終契約を結び、09年4月に共同出資会社を設立する予定だった。ところが、08年秋以降の世界同時不況で、ソニーが「市場の動向を慎重に見極めたい」との姿勢に転じたため、09年6月末までに契約締結期限を延期し、共同出資会社の設立も「10年3月まで」に1年先送りとなった。

   政府は国内の製造業を中心に在庫調整が進み、景気は底を打ったとしているが、6月末時点でもソニーは「最良の投資タイミングを見極めたい」と、慎重姿勢を崩さなかった。両社の関係を「婚約」に例えるなら、挙式日程が2回も先送りされたことになり、両社の関係に暗雲が垂れこめたとの見方も浮上している。

   シャープが堺市に建設中の工場は、ただの液晶パネル生産拠点ではない。シャープはこれまで三重県亀山市の亀山工場で付加価値の高い液晶パネルを生産。国内の最新鋭工場で他社をリードする製品を生み出すビジネスモデルは「亀山モデル」として知られ、同社のブランド向上に結びついた。ところが、亀山工場が老朽化したのに伴い、この生産設備を将来的に中国に移転。堺工場は「第10世代」(亀山工場は第6世代)と呼ばれる最新鋭の大画面の液晶パネルを生産する世界でも最大級の工場とし、シャープは「ポスト亀山」の「堺モデル」を構築する世界戦略を描いている。

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