「エロゲー」と呼ばれる18禁アダルトゲームの人気メーカーminoriが、ホームページへの海外アクセスを遮断した。日本の「エロゲー」はキャラクターが可愛らしく画質が高いこともあり、海外の熱狂的なファンから「芸術品なのになぜ見せない」「日本はエロゲー鎖国だ」などの批判が出ている。なぜminoriは海外からのアクセスを遮断したのか。
「日本の政府や政治家に働きかけてくれないだろうか」
minoriが海外からのアクセスを遮断したのは2009年6月23日の深夜2時。海外からホームページを訪れた人には、「Why minori blocking foreign accesses?」(何故minoriが外国からのアクセスを遮断しているのかわかりますか?)という英文が出る。
日本のエロゲーは「児童ポルノ禁止法」などで規制が強化される方向にあり、危機に直面している。そのきっかけは、外国で起きている日本のエロゲーへの批判だ。
アクセスの遮断が気に入らないというなら、日本の政府や政治家に働きかけてくれないだろうか。それがminoriにとって大きな助けになり、表現の自由が守れるかもしれないし、「遮断」は短くてすむかもしれないーーーそう説明文には書かれている。
日本のエロゲーを巡るトラブルはこのところ増えている。09年2月にイギリスで日本の18禁ゲームメーカーILLUSIONの「レイプレイ」が売られていると騒動になった。レイプを扱ったこのゲームはイギリス国内での販売は許可されていない。実は海外の輸入再版業者がネット通販の「Amazon.com」にアップしたものだった。イギリスの新聞は、「国会議員が国会で取り上げることを明言」と報道。この問題はアメリカの人権保護団体などにも飛び火。日本に対する非難が起こった。日本では「児童ポルノ禁止法」の改正法案についての論議がヒートアップしている最中であり、業界団体もエロゲーの規制について再考しなければならない状態になった。
minoriのアクセス遮断について海外のファンの反応をネットで調べると、
「エロゲーのイラストは芸術品。エロゲーを好む外国人は、エロゲーに反対する人よりよっぽど多い」
「日本のゲーム開発者の表現の自由を守れ」
「外国人を閉め出す日本のエロゲー鎖国だ」
っといったものがある。
日本での反応を検索してみると、
「海外で発売してない訳だからこれは正しい判断」
「minoriよくやった。他のメーカーも見習うべき」
「海外のファンには理不尽な処置だが、しかし今回の(日本の)規制強化の動き自体が理不尽なわけです」
などが書かれている。
単純所持が違法の国もあり、「犯罪者となる可能性は防ぎたい」
minoriの酒井伸和社長はJ-CASTニュースの取材に対し、海外や国内団体から「海外で(日本のエロゲーが)問題になっている」と業界に抗議があったようだ、と打ち明ける。海外からのアクセスを遮断した理由については、minoriの全てのタイトルはコンピュータソフトウエア倫理機構(ソフ倫)の審査を受けて販売しているため違法ではないが、海外では禁止されているため販売はしていない。しかも、日本語版のWindows以外では動作させないなど様々な対策を講じている。日本には日本の文化があるように、海外の文化を尊重することは重要で、
「海外において弊社の商品やWebサイトに掲載している画像を単純所持していただけで、当該国において犯罪者となる可能性があるのなら、それは弊社の配慮不足を起因とした問題です」
と酒井社長はアクセスを遮断した理由を説明している。海外ユーザーのことも考えた結果の措置という訳だ。