自民党から総選挙に出馬する可能性が強まっている宮崎県の東国原英夫知事に対して、「逆風」が吹きまくっている。各社が行った世論調査では、「国政進出は不適切」という結果が続々と出ているほか、「首長連合」で連携を模索してきた大阪府の橋下徹知事からは事実上の「三行半」を突きつけられた格好で、厳しい情勢に追い込まれてきた。
「自民党への印象は悪くなった」
県知事としての支持率は高い東国原知事だが、国政進出に対する世論の受け止め方は冷ややかなようだ。
共同通信が2009年7月3日から4日にかけて行った世論調査によると、東国原知事の衆院選立候補について「立候補した方がよい」との回答が14.5%だったのに対して、「立候補しない方がよい」との回答は81.6%にのぼった。
読売新聞が7月2日から3日にかけて行った調査でも、東国原知事が自らを党総裁候補にすることなどを条件に出馬を検討していることについて、73%が「適切ではない」と回答。「適切だ」の18%を、大きく上回った。
なお、「出馬騒動」が起こる直前の09年6月20日、21日にかけて、産経新聞とFNN(フジニュースネットワーク)が行った世論調査によると、東国原知事について、49.0%が「国政に期待する」と回答。この段階でも「それほど期待されていない」との見方ができるものの、古賀氏が6月23日に出馬要請して以降、世論からの「逆風」が強くなっていることがうかがえる。
古賀誠選対委員長が東国原知事に出馬要請をしたのは、「衆院選での目玉にしたい」という思いがあるからだ。世論調査の結果は、その前提すら覆そうとしている。朝日新聞が7月4日から5日にかけて行った調査によると、古賀氏が東国原知事に出馬要請したことについて「あなたの自民党への印象はよくなりましたか。悪くなりましたか。変わりませんか」の質問に対して、「よくなった」と回答したのは、わずか7%で、「悪くなった」との答えが44%にのぼった(「変わらない」が47%)。つまり、「東国原知事が自民党から出馬したとしても、自民党にとってはプラスにならない」という可能性を強く示唆した結果だと言えそうだ。
自民党からの出馬の可能性濃厚
また、かつては「蜜月状態」とも言われてきた橋下徹大阪府知事との距離も広がっている様子だ。両知事は、「首長連合」で連携を模索するとみられてきたが、7月5日になって、橋下知事は「東国原知事と組めば、自民・公明応援の猿芝居と思われても仕方がない」とバッサリ。
そんな中、7月5日に宮崎県を訪れて東国原知事と会談した金子一義国交相は、翌7月6日には「彼が決断するなら応援したい」と、出馬への期待感を隠さなかった。金子氏は東国原知事との会談の際に、東国原知事が立候補の条件としている「全国知事会の地方分権に関する方針を自民党のマニフェストに盛り込む」という点について、受け入れの方針を伝えたとも報じられている。仮にこれが本当であれば、自民党からの出馬の可能性がさらに濃厚になるとも言える。
一方の東国原知事は、世論調査の結果についてコメントを求められると、
「期待されている証拠というか、今までの仕事を評価されている裏返し」
と、改めて国政への意欲を示した。世論からの逆風の中、出馬の可能性は日に日に高くなっているというのが実際のところで、自民党にとっては「デスマーチ」の様相すら呈してきた。