東京・品川駅から徒歩10分、2LDK~4LDKで最多価格帯3000万円台。超激安で騒がれたタワーマンション「シティタワー品川」。転売や賃貸用として購入してひと儲けしようという人が現れることを想定、いろいろ「条件」をつけたものの、住人の中には将来の転売を見越した不動産関係者もいるとのウワサがたえない。
あるはずのない「賃貸」があった!?
「シティタワー品川」は、世界的な景気悪化で多くのマンション業者が販売不振にあえいでいる最中に登場した。ほとんどPRしなかったにもかかわらず、購入希望者が殺到して2008年9月に公開抽選会を実施。25階の3LDK+納戸・ウオークインクローゼット(114.27平米)の物件は最高倍率378倍をつけた。
70年経ったら土地の持ち主である東京都に返す約束になっている「定期借地権付き」マンションとはいえ、採算を度外視した激安価格に、他の不動産業者も驚いた。発売前から転売や賃貸用として購入してひと儲けしようという人が現れることを想定、5年間必ず本人が住むことや法人の購入を認めないなどの「条件」をつけた。
その後も何かと話題になっているようだ。
「賃貸『シティタワー品川』3LDK(82.77平米)35万円・管理費2万円」――。インターネットを検索すると、この激安タワーマンションが、本来あるはずのない「賃貸」物件として出ている。
東京都には、「賃貸とは、どういうことか」との投書が舞い込んだ。都が確認したところ、「分譲対象外の物件」だった。
このマンションでは11戸の物件を、従来からの地権者用に用意し、等価交換していた。賃貸に出されていたのはこの物件で、「地権者が賃貸に出すのを止める権利はない」(東京都)という。
そんなことで、まだ当初の「約束」を破るような住人はいないが、東京都は住民票を毎年提出してもらうなど、チェックは怠らないとしている。
売り主の住友不動産も、「違反行為があれば、権利を剥奪し当社が買い戻すことになっています」と、厳しい。