表現の自由に抵触する部分が増すと弁護士
与党案では、児童ポルノについて、現行法の定義に変更を加えていないとしている。それは、児童のヌードなどのうち、「性欲を興奮させ、刺激するもの」ということだ。
もし、与党案の定義通りなら、どんなヌードなどがそう認定されるのか。この問題に詳しい奥村徹弁護士は、判例などをもとにして、こう説明する。
「性器を写真で大きく、映像で長時間扱ったり、着衣をめくって性器を見せたり、みだらで扇情的なポーズを取っていたりした場合です。また、裸の女の子がたくさん写っているケースもそうですね」
もっとも、医学書や家族の記録のためのヌードなどは除かれている。
この判例などからすれば、「Santa Fe」は、児童ポルノに当たらないという。「股を開くなどして露出しているわけではありませんし、性欲を刺激するものとは考えられないからです」。
ただ、奥村弁護士は、単純所持を禁じれば、これまで以上に表現の自由に抵触する部分が多くなってくるとして、安易な立法化に危惧の念を示す。
「問題は、国会での議論がいい加減で、レベルが低いことです。所管省庁が判断するべきというのは無責任な話で、法案を作った人が解説するのが筋だと思います。与野党が水面下で議論するというのも、納得できません。これでは、法が成立しても、自白を強要されたり、別件逮捕に使われたりする危険が高くなるでしょう。実務家、専門家が法案をよく練って作るべきで、議員立法には無理があるんです。確かに、単純所持は禁じるべきという方向だとは思いますが、政府が責任をもってきちんと法案を出すべきでしょうね」