専用の日食グラスなどが必要
日光網膜症にかかると、どうなるのか。
網膜症に詳しい福岡県の荒川眼科医院院長の荒川哲夫さんは、こう話す。
「冬山登山などで照り返しを受けてなる雪目症と同じですよ。網膜の黄斑部に紫外線などで軽いやけどを起こすということです。腫れたり、水が溜まったりして、斑点になって残ることがあります。斑点化してしまったら、眼球の神経がやられていることになるので、一生残ったままになってしまいます。そうなると、周りは見えても、中心部がぼけて黒く抜けたような感じになります」
もちろん、きちんと治療しないと、失明もしてしまうそうだ。
日食では、太陽が隠れるものの、荒川さんは、それでも危険だという。「一瞬、太陽を見て、目をつぶると斑点のようなものが見えますよね。軽いものは治りますが、日食でずっと凝視していれば危ないですね。特に、分別のない子どもは見てしまう傾向があります」。
こうした危険から、国立天文台のホームページや日本眼科医会のポスターなどでは、誤ったやり方で日食を観察しないよう呼びかけている。
日食の観察用には、専用の日食グラスや遮光板などが販売されており、これを使って時々目を休ませれば網膜症にはかからないようだ。量販店などで、300~1500円程度で売られている。ビックカメラによると、東京でも部分日食が見られると、日食グラスなどの売り上げが伸びてきているという。