「値下げ制限110番」設置する動き
「店舗の品ぞろえが縮小均衡に陥っては、いつでも欲しい商品が選べるというコンビニのビジネスモデルが崩壊しかねない」。セブンの23日の役員会では、これまで加盟店が負担していた弁当などの廃棄損失の15%を本部が負担することが決まった。本部として年間約100億円の負担になるが、鈴木会長のツルの一声だったという。同社の09年2月期の営業利益は約1780億円。新たに発生する費用はその6%弱だが、同業他社からは「最大手のセブンだからこそできる数字」とうらみ節も聞こえる。
井阪社長はこの会見で「本部による新たな支援策の導入で、加盟店が積極的な発注を維持すれば、(品切れで)これまで取り逃していた目に見えない機会損失を回復できる。100億円の負担がそのまま収益に響くことはない」と強気の姿勢を見せた。
だが、見切り販売の拡大を食い止められるかは不透明だ。公取委の排除命令後、一部加盟店には弁護士事務所などと手を組んで「値下げ制限110番」などを設置する動きもある。現状で2~3%とされる廃棄率をすぐに縮小できる手立てがないことは井阪社長自身が認めているところ。「食品ごみ」削減を求める消費者の声が、見切り販売を続けてきた加盟店側の「口実」になることは確実だ。