フツーの女の子がモデルとして登場するフリーペーパー「美少女図鑑」に、「横浜美少女図鑑」が登場した。首都圏では初の発行となる。人気は上々で、2万部が配布から数日でなくなりそうな勢いだ。2009年内に青森、富山、三重、神戸など各地でも創刊される。クリエイタ-、モデルも全部「地元」というのも人気の一因で、地元の熱意に後押しされて、美少女図鑑の全国制覇は着々と進んでいる。
「東京」なんて必要ない、ハマっこのプライドが…
「横浜美少女図鑑」
「地方都市に美少女を増やそう」という目的で立ち上がったフリーペーパー「美少女図鑑」。初めての首都圏版となる「横浜美少女図鑑」が09年6月30日にお目見えした。
誌面にはおよそ40人の「美少女」が登場している。プロのモデルやタレントではなく、みんな地元の女の子だ。山下公園や元町といった地元の名所を背景に、女性ファッション誌さながらのメイク、衣装で撮ってもらえるというだけあって、4歳から40歳代まで500人以上の応募があった。
横浜版発行元のFACE、武田芳和編集長は横浜の女の子の魅力について、
「気負うことなく自然体でいること。ジーパンにTシャツ、すっぴんでもカワイイ子が多いんです。その点が東京とは違います。洋服も横浜で買っている人が多く、『東京』なんて必要ないというプライドが誌面に出ていると思います」
と語る。
女性誌のような上質な紙を使い、A5サイズ、オールカラーの68ページというボリュームだ。フリーペーパーには見えず、「本当にもらっていいの?」という声も聞こえてきそうだ。
発行部数は2万部で、横浜ビブレや横浜市内のTSUTAYAなど30~40カ所に置いている。
また、横浜版では他の美少女図鑑にはない、こんな試みも行っている。
音楽レーベルを立ち上げて、地元のアマチュアミュージシャンが参加したミニアルバムを作り、横浜、川崎、長津田で6月30日から発売した。誌面との相乗効果で、インディーズにもかかわらず即日完売したそうだ。
また、FMヨコハマ毎週月曜放送の「Animo!」で、同誌と連動したコーナー「横浜美少女図鑑R(アール)」がスタートした。誌面に登場しているモデルやクリエイターが出演する。7月28日には横浜ランドマークプラザでイベントも行う。誌面にとどまらず、いろんな媒体を活用した試みが注目を集めている。
9月中旬には「別冊:湘南美少女図鑑」を発行する予定。
クリエイタ-、モデルも全部「地元」
美少女図鑑は09年に入ってから創刊ラッシュだ。2月に群馬、5月に広島、6月は金沢、岡山、愛媛、長崎、鹿児島で相次ぎ創刊。7月から年内にかけて札幌、福岡、青森、岐阜、和歌山、富山、三重、神戸、佐賀、滋賀でも予定している。
美少女図鑑を立ち上げたテクスファーム(新潟市)のクリエイティブディレクター、小林友さんは、
「年内に46道府県で発行が完了する予定です」
と宣言する。
美少女図鑑は02年に新潟版からスタートした。05年に沖縄版ができて、3年のブランクがあって08年に大阪版と宮崎版が創刊された。当初は誰が発行しているのかもわからず、すぐになくなってしまうことからも、「幻のフリーペーパー」として語られていた。
「地方でできることをやる」というのがモットーで、制作は各地域の編集プロダクション、クリエイターにまかせ、いわばフランチャイズ形式で運営している。美少女図鑑の噂が広まると、自分たちで作ってみたいという地方のクリエイターの問い合わせが方々から寄せられた。
3年のブランクがあったのは、全国展開する準備ができていなかったためだ。08年末に公式サイトが立ち上げて発行元を呼びかけたところ、全国のデザイン会社や編集会社からたくさんの応募が寄せられた。
モデルも、着ている衣装やスタイリングを行うヘアサロンも地元のもの。そんな「親近感」がどの地方でもウケた秘けつではないか、と小林さんは話していた。