トヨタの「プリウス」が富裕層の支持を得ている。金融資産1億円以上の富裕層限定のプライベートクラブ「YUCASEE(ゆかし)」の会員を対象に行ったインターネット調査によると、トヨタのハイブリッド車「プリウス」への支持が、「レクサス」の旗艦モデルLS600hを上回った。2009年5月に「3代目」が発売されたばかりだが、燃費のよさなど、プリウスに注入されている技術力が評価されている。
「プリウス」64%。「レクサスLS600h」が43%
3代目「プリウス」
エコカー減税の効果もあって、ジワリと上向きはじめた自動車販売。中でも、ハイブリッド車や電気自動車(EV車)への注目度が高まっている。
30歳代~40歳代を中心とする医師や弁護士、会社経営者を会員とする「YUCASEE」を運営するアブラハム・グループ・ホールディングスが、2009年7月1日に発表した「ハイブリッド車に対する富裕層の意識調査」によると、「プリウス」を支持する富裕層は64%。「レクサスLS600h」が43%で続き、ホンダの「インサイト」は22%だった。
実際に、プリウス人気は上々だ。日本自動車販売協会連合会が調べた5月の新車乗用車販売台数ランキングでプリウスは、4月の1952台(第21位)から大きく伸びて、1万915台の首位に立った。プリウスは5月18日に「3代目」を投入。1リットル38キロの燃費のよさを売りものに、「快走」している。
一方、4月のランキングで首位だったのが、ホンダの「インサイト」(1万481台)。5月はプリウスに首位を譲ったが、それでも8183台の第3位につけている。
アブラハム社の調査では「プリウス」と「インサイト」の新商品バトルについても聞いていて、73%が「ハイブリッド車の普及が促進されるのでよい」と回答するなど、評価する意見が目立った。「メーカー間の競争により、手ごろな価格が実現すると思う」といった値下がり期待や、「競争による燃費性能の向上」といった技術の進歩、「国際競争力の向上が見込める」といった意見も少なくなかった。
富裕層は「ハイブリッド車の魅力」を、「技術の先進性」(55.0%)に感じている。若者を惹きつけるようなエンジン音やモーター音の力強さではなく、乗り心地のよさといった基本性能はもちろん、燃費のよさや環境性能、安全性能の高さを求めているようだ。
電気自動車への期待もにじむ
ただ、買い時については、富裕層の45%が「いま、ハイブリッド車を買うべきかどうかを迷っている」と回答した。「すぐにでもほしい」という人を含め1年以内に買いたい人は35%で、3年以上先が19%いた。
販売してほしいハイブリッド車として、バッテリーの積載場所の解決が課題になっている「ステーションワゴンタイプ」のほか、ベンツやBMWにも「プリウス」並みのハイブリッド機能を求める声もある。
ハイブリッド車は「過渡期の自動車」との認識があって、二の足を踏んでいる富裕層も少なくないもよう。三菱自動車や日産自動車が力を入れる電気自動車への期待も大きい。
「自動車はますます魅力的になっていくと思う」――。車離れが喧伝される中で、富裕層の67%がそう答えた。