北九州市のタクシー「初乗り無料クーポン」 業界内の反発で中止

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   北九州市のタクシー大手、第一交通産業が企画したキャンペーン企画が頓挫した。「当たり」が出た場合、次回の初乗り料が無料になる、というもの。事実上の値下げだ、という反発が業界内部から出て、同社の社長がタクシー協会会長を務めていることもあって断念した。

   第一交通産業(福岡県北九州市)は2009年7月から2か月間、タクシー利用の際に発行される領収書の裏に「当たり」が出た場合、次回の初乗り料(650円)が無料になるクーポンなどを発行するキャンペーンを企画した。

   福岡県北九州市、行橋市、苅田町地区で実施予定だった。第一交通産業グループはタクシー約7600台を保有する大手。効果があれば、全国に広げる計画だったという。

「和を乱すようなやり方をとりやめた」

   同社によると、もともとグループ会社の北九州第一交通が「販売促進のために企画した」。今回のキャンペーンにさきがけて、6月20日頃、キャンペーン実施をうたった宣伝チラシを配布しており、準備も整っていた。

   だが、このチラシを目にした地元のタクシー業者が、事実上の値引きのキャンペーンに反発。くわえて、同社の田中亮一郎社長が、福岡県タクシー協会と北九州タクシー協会の会長を兼務している事情があり、企画は頓挫した。同社は、「タクシー事業に関する新しい法律が成立した時期で、(田中社長が)業界の地域をとりまとめる立場にあることから、和を乱すようなやり方をとりやめた」と説明している。

   なお、タクシーの運賃をめぐっては2009年6月18日、過度の運賃値下げや営業台数の増加の見直しを迫るタクシー事業適正化・活性化特別措置法が参院本会議で可決。10月1日からの施行が予定されている。

   特措法では、国土交通省が指定した供給過剰地域において、新規参入を制限したり、台数を抑制したりする。低賃金にあえぐ運転手の待遇改善が狙いで、不当に低い運賃は設定しにくくするという。運賃規制は1993年から段階的に緩和され、2002年には新規参入と増車が自由化されていた。

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