預貯金や株、投資などの保有金融資産が「ゼロ」という20代は2割弱、25万円未満と合わせると4割に上るーー。「若者の貧困化」を裏付ける、こんな調査結果が出た。毎日の生活もままならず、「預金どころではない」という実態がうかがえる。
金融資産半数が50万円未満
日本ファイナンシャル・プランナーズ協会が全国の20歳から29歳までの男女に行った「生涯設計に関する意識調査」によると、保有金融資金について17.7%が「ない」と答えた。6人に1人という割合だ。25万円未満は19.3%、25万~50万円未満が10.3%で、半数が50万円未満だった。
調査は20~29歳の男女1万5000 人に2月6~12日に行い、3756の有効回答を得た。
日本FP協会は、
「不況下で日々の生活費を確保し、職を探さなければならない、といった目先の不安があり、将来のための預金どころではないようだ」
とみている。
調査によると、お金はないが、将来に関していろいろな願望を抱いている。
未婚者の7割が「結婚願望」を持っている。ただし、金銭面から6割以上が共働きを希望している。
子どもは「2人欲しい」(56.2%)が最も多く、次いで「3人欲しい」が17.6%で、「1人欲しい」を含めると8割が子どもを欲しいと思っている。
ところが、子どもの教育費に使うための預貯金について、「特に考えていない」と答えた人は46.8%を占め、「教育費に使うことを特定した預貯金等はしていない(する予定はない)」(13.8%)と合わせると、およそ6割が子どもの教育費のための預貯金をしていないという結果になった。
住宅については、「持家一戸建て」を希望している人が多く、48.3%。「持家マンション・アパート」(14.4%)も含めると、6割が家を購入したいと考えている。しかし、購入のための資金を準備していないという人は、7割にのぼった。
親の資産もあてにならない?
こうした中で、親の援助を期待する人も出てきそうだ。ただ、不況下でそれが期待できるか、あやしくなっている。
日本銀行が6月17日に発表した資金循環統計(速報)によると、預金や株式、保険などの家計の金融資産の08年度末の残高は1410兆円で、前年度末より3.7%減、55兆円減った。株価下落によって保有株の評価額が目減りしたからだ。
貯蓄も減っている。
総務省が09年6月16日に発表した家計調査(08年)によると、1世帯あたりの貯蓄現在高は1680万円で、07年に比べて2.3%減少。年間収入が同比1.8%減の637万円と減ったことが影響した。また、貯蓄残高が100万円未満の世帯は、07年の9.3%を1.4ポイント上回り、10.7%に増えた。
不況下で個人金融資産が全体的に減り、親の方も余裕がなくなりつつある。