アニメやゲームのキャラクターに扮するコスプレ。最近では「市民権」を得たようで、週末ともなると全国各地で関連イベントが行われ、コスプレの世界大会も実施されている。専用サイトも登場、イベント後には、サイトを通じて写真をアップするのがコスプレイヤーたちの決まった楽しみなのだという。
週末は全国各地でコスプレイベントが開かれる
ワース・テクノロジーは2009年6月23日、コスプレイヤーのためのコミュニティサイト「L's Salon(エルズサロン)」を開設した。サイト内では、愛好家たちが自慢のコスプレ写真を公開。サイトを通じたやりとりや日記を書くことができるほか、SNS「mixi」のコミュニティように、気の合う仲間同士が集う「サークル」の場もある。
サイトを企画したのは「同社の現役コスプレイヤーの発案がきっかけ」とワース社の広報担当者は話す。事業化するにあたって、最近では週末ともなると、全国各地でコスプレ関連のイベントが開かれていることもわかった。そうしたことから、愛好家に向けた場を提供したいと開設に至ったという。
ライブドアが運営する「Cure」もコスプレイヤーのためのコミュニティサイトだ。2001年にオープンし、現在では6万4682人が活動している。男女比は2:8で圧倒的に女性が多い。編集部によると、コスプレが一般に知られるようになったのはドラマ「電車男」が話題になった2005年頃。ドラマがきっかけでアキバ文化が注目され、コスプレを知った人が増えた。一説にはコスプレ人口は10万人とも言われている。
「10年前のコスプレといえば衣装はほとんどが手作りでした。しかし、ここ最近は販売されている衣装も増えましたし、ウィッグやカラーコンタクトのアイテムの値段も安くなっています。より気軽に、よりキャラクターに似せられるようになりました。最近は『けいおん!』『涼宮ハルヒ』が人気。これらのキャラクターは制服を着るだけで、手軽というのがうけているようです」
ちなみに、コスプレ関連のイベントは3大都市圏を中心に毎週末開催されている。500~1000人規模が多いが、なかには5000人~1万人規模のイベントもある。その際、自慢のコスプレを披露し、写真を撮る。撮った写真はサイトにアップロードして共有する――これが基本的な楽しみ方。そういうわけで、編集部によると土曜・日曜よりも月曜・火曜の方が、更新頻度が多いのだそうだ。
コスプレの世界大会、15か国が参加
一方、コスプレの世界大会「世界コスプレサミット」というイベントもある。2003年から愛知県名古屋市で毎年開催されている。2009年現在、世界15か国が参加。国別代表を決める予選会も開催されるほどの一大イベントとなっている。主催するテレビ愛知は、こう話す。
「日本の漫画・アニメを介した日本発の文化を紹介しようという試みです。もっとも、開始に踏み切ったのは、コスプレイベントが世界中でにぎわっているのを知ったから。コスプレイヤーを一同に集めたら面白そうだなと企画したわけです。観客も当初は3000人ぐらいだったのが、今では1万2000人ぐらい。興味のある人はだんだんと増えていることがわかります。3か国からはじまった参加国は、今では15か国と拡大しました」
イベントでは日本のアニメキャラに扮した2人1組が登場し、持ち時間3分以内でストーリーを持った演技を披露する。2008年優勝のブラジルペアは、アニメ「爆裂天使」のコスプレで登場。女性ガンマンの「ジョウ」、戦闘サイボット「ジャンゴ」と呼ばれるキャラクターを演じきった。
「海外からの参加者はノリがいいですね。MANGA、ANIME発祥の国・日本での発表の場が嬉しいとあって、演技にも気合いが入っていました。実際、ブラジルでは、予選を勝ち抜くのはだいたい1000組の中の1組だそうです」
もっとも、日本ペアのエントリー数は20組ほどでまだまだ少ないようだ。コスプレ自体は個々人で楽しんではいるものの、パフォーマンスの文化が根付いていないのかもしれない。審査では衣装の完成度に加え、パフォーマンスの面白さ、演出の工夫などが総合的に評価される。2009年大会は、8月1日・2日に実施される。