金融庁は、顧客情報の不正流出事件で元部長代理が逮捕された三菱UFJ証券に対して、業務改善命令を2009年6月25日に発動した。顧客情報の管理体制が不十分なうえ、情報保持に関する社内研修などが不足していたことを問題視した。同時に、証券会社には初めてとなる個人情報保護法に基づく是正勧告も行った。三菱UFJ証券は、経営責任の明確化を含め、7月3日までに再発防止策を当局に提出する。
金融庁によると、元部長代理は09年1~3月にかけて同社の個人顧客のほぼ全員にあたる約149万人分の情報を不正に持ち出し、このうち約5万人分を名簿業者に売却していた。名簿はその後、マンション販売業者などに転売されて96社が入手していることがわかっている。
6月25日に記者会見した三菱UFJ証券の秋草史幸社長は、「1度流出してしまった情報をすべて回収することは困難。管理が不十分だった」と陳謝。経営陣の責任問題には「社内処分を検討している」とした。流出した個人情報は、96社のうち71社から回収を断わられている。また、いまだに転売先から勧誘の電話があるなど、同社に苦情が寄せられている。