賞味期限間近だったり、傷があるために正規のルートで売れなくなったりした「訳あり品」が、ネット通販で大人気だ。「訳あり商品」専用サイトが登場したほか、「Yahoo!オークション」のトップページには「B級品オークション」「キズありオークション」といったアイコンが新たに設けられた。不況下で節約ムードが高まるなか、「訳あり」は「市民権」を得たようだ。
買いたい人が多いほど値段が下がる
通販サイトを運営するネットプライスは、「MOTTAINAIギャザリング」を09年6月2日に立ち上げた。メーカーが作りすぎたもの、デザイン変更で売れなくなったもの、賞味期限が近いもの、シーズンオフのものを集めた。他のサイトと違うのは、買いたい人が多いほど値段が下がるという仕組みだ。
例えば、京都の老舗コーヒー「小川珈琲」の有機レギュラーコーヒーカフェセットは賞味期限が近いという理由で値下げしている。メーカー希望小売価格3000円のところ、購入者が複数集まり6月25日現在で2079円の値段がついている。サングリアの「チューハイテイスト」は48本セットで希望小売価格5760円のところ、3864円に値下がりしている。
担当者によると、6月25日現在での利用者は延べ2000人。客単価は2000円で、3週間でおよそ400万円を売り上げた。売上げの一部は環境活動に寄付されるというのも、このサイトならではだ。
6月30日までの期間限定だが、担当者によると反響があるので取り組みは今後も続ける。
「Yahoo!オークション」のトップページにも、「B級品オークション」「アウトレットオークション」「展示品オークション」「キズありオークション」というアイコンが2009年5月上旬から登場した。食品、家具、家電、ブランドものなどいろんな商品がある。
同社ではこれまでもB級品を扱っていたが、この新システム登場以降、取引成立件数は大幅に増えた。B級品は6月25日までの30日間で前年同期比220%増、キズありは同比520%増、アウトレットは同比218%増だった。
ヤフー広報担当者は、「不況下で訳あり商品が注目され、市民権を得たようだ」と話している。
「生活防衛」のため、ホタテやタラコをまとめ買い
カニやタラコ、ホタテ、夕張メロン、といった北海道の特産品を正規の販売価格の4~5割引きで売っている通販サイト「北海道わけあり市場」。傷もの、不揃い、規格外で正規品としては販売できないものを常時30~40アイテムを扱っている。
夕張メロン8キロ(4~6個入りが目安)が、通常は1万7800円のところ6割引きの7340円。メロンの網の目が粗いものや、ツルが折れてしまった、形が楕円になったという「訳あり」だが、品質は百貨店などで高級ギフトにも用いられているものと同じだそうだ。
そのほかズワイカニの切り足(3キロ箱)は通常価格の35~39%オフで8400円から。特上たらこ(1キロ)は通常価格の半額で6279円。売り切り次第終了なので早い者勝ちだ。
サイトは07年に立ち上がった。08年夏頃からメディアに取り上げられるようになり、売上げが大きく伸びた。最近は前年の2倍強で推移している。年間売上高はおよそ1億円で、不況で節約志向が強まるなか、さらに伸びが期待できそうだ。
運営する北の達人コーポレーション広報担当の田中秀将さんは、
「当初はカニや牛肉などの贅沢品をお得に買えると人気でしたが、不況が色濃くなるにつれて、ホタテやタラコをまとめ買いするお客さまが増えています。利用者のほとんどが主婦なので、冷蔵庫にたくさんあっても困らない食材を2~3アイテム買っていくようです。1人あたりの平均単価は8000円。当社が運営している他の通販サイトに比べても単価が高いです」
と話している。
送料は常温、冷凍ごとに1000円かかる。つまり、冷凍ものをいくつ買っても、届け先が同じなら1000円で済む。
グルメサイト「ぐるなび食市場」でも「わけありグルメ」を集めて売っている。スイーツ、海産、肉、総菜、フルーツを扱っている。例えば、チーズケーキが20カットで通常価格4620円のところ、半額の2310円。ホールを切り分ける際に、大きさにバラツキが出たものを集めた。合わせると2ホール分になる。
ベーグルは24個で通常価格5390円のところ52%引きの2580円。製造元との取引が終了して在庫がたくさんあるという理由で、味や品質には問題ないそうだ。
魚の開きの盛り合わせもある。シマホッケ220gが2枚、サバフィーレ100gが3枚、赤魚220gが2枚、キンキ開き30gが2枚で、通常価格4230円が35%オフの2750円だ。