夏までに原油価格100ドル超え? 投機マネーが再び流入

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   原油価格の上昇が続いている。指標になるニューヨーク商品取引所(NYMEX)のウエスト・テキサス・インターミディエート(WTI)の価格は、2009年2月後半からじわじわ上昇して、6月中旬には1バレル70ドルあたりで推移している。投機マネーがさらに流れ込めば、08年夏のような「100ドル超え」の可能性が出てきた。

原油価格「100ドル」に迫る?

   石油元売りの業界団体である石油連盟の天坊昭彦会長(出光興産社長)は、記者会見でWTIの価格について「夏までに100ドルを超えるのではないか」との見方を示した。

   原油価格の上昇で、全国のガソリン価格は平均121円(石油情報センターの6月10日調査)にまで値上がりした。石油製品の価格上昇をきっかけに、回復の兆しにある景気が、再び冷え込みかねないとの心配がある。

   石油輸出国機構(OPEC)に加盟する産油国は、2009年3月をボトムに4月、5月とわずかに増産したが、基本的には減産。先進国(消費国)はリーマン・ショック以降の経済活動の停滞もあって、「在庫はぱんぱんになったまま」(天坊会長)だ。

   本来であれば、もう少し下がってもいいはずなのに、「投機マネーが市場に流れ込んでいる」ために上昇した。

   原油価格に詳しい、三菱UFJリサーチ&コンサルティングの芥田知至・主任研究員は、 「(1バレル30ドルで推移した)09年1~2月ごろは景気の先行きが不透明で買い控えがあった。このところの急騰は景気回復を見越した動きにある」と説明する。中国などの新興国の経済が、欧米や日本に先がけて回復基調に乗ったことは大きな上昇要因だ。

市場が混乱すれば、投機マネーは原油にも流れる

   2009年6月19日のWTIは、世界的な景気回復の楽観ムードが後退して、終値で1バレル69ドルと70ドルを割った。週明けの22日は66ドル、23日には69ドルと70ドルをはさんで推移している。どうも足踏み状態に入ったようだ。

   原油先物を扱う東京工業品取引所(TOCOM)は、「たしかに原油は今年に入って上昇が目立ちます。しかし、WTIの取組高(売買の建て玉の数)をみても急激に増えていることはありません」と、投機マネーの流入に勢いがあるとは言い切れない。

   前出の芥田氏は、「企業や個人が投資にまわせる資金が増えているわけではない」と話す。いま原油に投資する投資家は、「貯え資産」をバックボーンにしている。株式や債券、商品(コモディティ)と市場全体が右肩上がりにならないと、手元の投資に使える資金が増えず、勢い原油に投資できる資金も増えてこないためだ。

   とはいえ、上昇の勢いを失ったかにみえる原油価格だが、商品先物の光陽ファイナンシャル・トレードの熊本宏氏は、「上昇トレンドは続いている。いまは高値の調整安に過ぎず、ガソリンの最大需要期の夏場までは上昇するのでは」とみている。

   世界的な「ゼロ金利」水準で、だぶついた資金は原油をはじめ、金や穀物、株式、BRICsや資源国通貨などに流れている。「今後、財政悪化で長期金利が上昇(債券価格は下落)して、市場が混乱すれば、投機マネーは金などの安全な投資先に流れる」(熊本氏)。原油もその投資先となるので、「100ドル超え」の可能性は十分ということらしい。

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