「気軽に利用できる」とインターネット上で結婚相手を探す「ネット婚活」が注目されてきた。結婚相談所や大手ポータルサイトも参入し、今後ますます盛んになりそうだ。一方で、ネットを介しての出会いには、相手の素性がわからないという不安もつきものだ。暗いイメージを払拭するため、各社とも本人確認を徹底させ、「安全性」に力を入れている。
運転免許証、パスポートで本人確認
会員数が100万人を突破した恋愛マッチングサイト「match.com(マッチ・ドットコム)」に、婚活専用サイト「マッチ・ドットコム マリッジ」が2009年6月11日に立ち上がった。
「マッチ・ドットコム」は登録されたプロフィールを検索し、自分で好みの相手を探すという仕組み。「マッチ・ドットコム マリッジ」は探し方が少し違い、プロフィールとパーソナリティーテストの結果をもとに、性格や価値観の合う相手を毎日5人まで紹介してもらえる。その後の段取りもフォローしてくれて、「昔の仲人がしてくれるようにお手伝いする」(マッチ・ドットコム ジャパン)。サービスはすべてネット上で受けられるので、結婚相手紹介所に行く時間がない人や、婚活していることを周りに知られたくないという人にも重宝されている。
一方、本人のものでない写真や嘘のプロフィールを載せることもできるため、信用していいのかという不安もある。その対策として、同社は申し込みの際に運転免許証、健康保険証、パスポートのいずれか撮影し、データを提出する義務を設けている。カスタマーサポートスタッフが確認して、審査が通れば利用資格が得られる。
一連のサービスを利用するには、90 日間コースで特別価格2万円(通常価格3万円)、180日間コースで特別価格3万円(通常価格5万円)、365日間コースで特別価格5万円(通常価格8万円)がかかる。
結婚相手紹介所がサービスの一環としてネットを活用していることもある。
「NOZZE(ノッツェ)」はパソコンと携帯で結婚相手が探せるサービスを10年前から行っていて、4万人の会員が利用している。
サイトでは写真3枚とプロフィールのほか、30秒間のビデオレターが閲覧できる。写真よりも実際の雰囲気がわかりやすいと人気で、半数以上が掲載しているそうだ。
会員になるには独身証明書、在職証明書などの書類が必要であるほか、スタッフとの面談もある。利用料金は登録料3万円、月会費1万5000円などがかかる。
運営する結婚情報センターは、通常のお見合いもあり、併用できるのが利点だとPRする。また、ネット婚活の安いサービスがいろいろと出てきていることについては、「何に重きを置くかはそれぞれの価値観で違う。ただし、お金をかける人とそうでない人では結婚に対する本気度が違うのではないか」と話している。
大手ポータルサイトが運営する婚活サイトもある。
Yahoo!JAPANでは「Yahoo!縁結び」を05年から運営している。会員数は09年6月23日現在で男性が7864人、女性が4114人だ。入会から退会までの平均期間は半年。また、退会時のアンケートで「相手が見つかった」と答えた人は6月22日現在1万9579人で、なかには結婚したという人もいる。
SNS大手mixiには、婚活のコミュニティがある。ネット婚活をしている人は結構いて、そのなかでも「Yahoo!縁結び」を利用していると書いている人が目立つ。
「Yahoo!縁結びで友人が結婚しました」
というのはななみんさん。
自身も早速登録したところ、1か月ですてきな人に出会い、その人と結婚を前提に付き合っているそうだ。5月27日に書き込んだ内容だ。
「出会い系」との違いは?
気軽に始められるというのが魅力のようだ。とはいえ、他社サイト同様に運転免許証やパスポートなどの本人証明の提出は必須だ。任意で勤務先証明書、卒業証明書、独身証明書も提出できる。プロフィール欄で提出の有無が表示されるので、たくさん出している人の方が信用されるそうだ。
学歴、年収、勤務地、趣味といったプロフィールのほか、日記を書き込める機能もある。 料金は男性が月額4800円、女性が3500円。
ポータルサイト「excite」内の「excite恋愛結婚」は累計会員が8万人を超え、新規入会は毎月1000人以上にのぼる。
売り物は、「業界最多」(同社)という80項目にわたるプロフィールで、「趣味」「好きなもの」「休日の過ごし方」「お金の使い方」「家事得意度」「親と同居の可能性」「共稼ぎについて」と詳細の情報がわかる。メールアドレスや名前は非公開だ。
料金は女性無料、男性は月額1890円かかる。
ネット婚活が盛んな一方で、「出会い系サイトと同じではないか?」という疑問も上がっている。
これについてヤフーは、
「出会い系サイトは無料登録をすれば誰でもプロフィールが見られますが、きちんとした婚活サイトは審査に通った会員しかプロフィールを見ることができません。そこが大きな違いです」
と話している。
マッチ・ドットコム ジャパンも、
「本人確認をしているので、安全に使えるという点が違います」
と否定。