始まった「大学淘汰」 聖トマス大「敗戦の弁」
(連載「大学崩壊」第11回<最終回>/募集停止続々)

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有名校とそうでないところに二極化している

――学生数の「激減」はなぜ起きたのでしょう。

聖トマス大学:一言でいえば「努力が足りなかった」ということ。受験生のニーズに合った学科・学部をつくれず、有名校に志望が偏ってしまう中で、本校が肩を並べるところまではいけませんでした。それに、少子化の影響も非常に大きい。09年度については経済危機の影響で、学費の高い私立大学が敬遠された、ということもあるように思います。

――09年3月末現在で、約20億円の赤字ということですが、赤字経営はいつから続いていたのですか。「経済危機」の影響はあったのでしょうか。

聖トマス大学:1998年から赤字が続いていました。また、外貨建ての有価証券を保有しており、円高の影響もありました。

――今まで、どのような施策を講じてきたのでしょうか。

聖トマス大学:04年には学科を減らし、定員を限定する改組を行って経営資源の集中を図ったと同時に、神学科を人間学科に改名するなど、親しみやすい大学を目指しました。07年には聖トマス・アクィナス大学国際協議会に加盟し、「聖トマス大学」に改称、海外に興味のある学生のために留学システムの強化を行いました。08年は文学部を人間文化共生学部に改組、教職課程の強化を行いましたが、校名を浸透させることも難しく、結論としては改善できなかったということ。結果がすべてですから…。

――今後、小規模大学の経営環境は厳しさを増してくるのでしょうか。

聖トマス大学:少子化の余波で、有名校とそうでないところに二極化しているのは確かだと思います。当校も有名校に負けないよう頑張ってきたつもりでしたが、結果として失敗に終わってしまった。ただ、小規模でも特徴を出して頑張っているところはあります。小さい大学には小さいならではの良さもあるのでは。

――一部で合併も検討との報道もありましたが。

聖トマス大学:現時点では未定です。なくなる大学を卒業するのが嫌、と転校する学生もいるかもしれませんが、第一に考えるのは在校生の利益。卒業するまで、よりよい教育環境を提供し、就職支援を行っていきます。
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