大阪府堺市が進めている阪神高速道路の大和川線工事を巡って、ひともんちゃく起きている。市から指名停止措置を受け、元来入札に参加できないゼネコン2社が、市に工事を「委託」されていた阪神高速道路を通して受注していたことが「発覚」したからだ。市は「適正に取り扱われた」と主張するが、橋下府知事は「ワケのわからない理屈」と強く批判している。
指名停止期間にバラツキ
大和川線は阪神高速湾岸線から分岐して松原線に連絡する全長約10kmの地下高速道路。阪神高速道路と堺市、大阪府が分担して工事を進めており、2015年3月末の完成を目指している。付近の一般道の渋滞緩和や、経済活性化が目的とされている。
問題になっているのは堺市が担当している1.6kmの区間。独占禁止法違反で指名停止期間中にあったゼネコン2社が、工事を委託されていた阪神高速道路を通じて受注を受けていた。
市の担当者によると、ゼネコン2社は07年6月20日に公正取引委員会から独占禁止法に違反したとして排除措置命令を受けた。それを受けて、各発注機関が独自に持っている基準に則って指名停止期間が設けられた。市では、2社とも07年6月25日から翌08年6月24日までの1年間、一方阪神高速道路では、1社が07年7月9日から10月8日までの3か月間、もう1社が07年7月9日から9月8日までの2か月間が停止期間と決められ、両者の間でバラツキが出た。
阪神高速道路発注の入札は08年6月5日に行われた。確かに堺市の指名停止期間中ではあるが、阪神高速道路の定めた期間中ではないので、問題はないというわけだ。
「受注は、阪神高速道路の基準によって適正に取り扱われました。適法であると考えています」
と同担当者は話す。
工事を「委託」されていた阪神高速道の広報担当者も
「『委託』ということは工事の発注から実際の施工まで、我々の基準に基づいて任されているという意味だと捉えています。また、堺市で指名停止期間中にあるからといって、阪神高速道路の指名停止期間中でない業者を入札から閉め出すことは逆に不公平になります」
と主張している。