女子中高生にとっての父親は、けむたく、遠ざけたい存在――そんなイメージがある。だが、最近では状況が違うらしい。お父さんを「尊敬している」という女子中高生が実に、半数以上を占めるという調査結果が出た。
遅くまで働いている父親には安心感と感謝
ピーネストが女子中高生2001人を対象に実施した「女子中高生の『父の日』に関する意識調査」(調査期間は2009年6月1日~5日)で、自分の父親を尊敬しているかどうかについて質問したところ、「すごく尊敬している」「少し尊敬している」と回答した人は中学生で52.1%、高校生で61.1%だった。父親の威厳はそれなりに保たれているという結果である。
もっとも、思春期の娘にとっての父親といえば、「お父さんの後のお風呂には入りたくない」「洗濯も一緒にしないで」「話しかけないで欲しい」といった辛辣な言葉を投げかけられるのが常だった。が、今は状況が違うのだろうか。調査を実施したピーネストの担当者は、このアンケート結果を次のように分析する。
「(お父さんが)家庭や自分の生活を支えてくれていることには、安心を感じているみたいです。くしくもこの不況下、夜遅くまで働いている父親に対する感謝の声が寄せられています」
「昔も内心では父親を尊敬していた」
実際、最近の女子高生は父親との関係は良好のようだ。
ティーンやギャル事情に詳しいSGRの「まぁ~さ」さんは、「(父親と娘の関係は)友達感覚に近くなっている」と指摘する。
「ギャルの子たちの話を聞くと、最近では『お父さんと仲が悪い』という話はほとんどききませんね。私は、ケータイがコミュニケーションに役立っているのではと思います。彼女たちは(父親と)喧嘩しちゃった後だとか、日頃起きたことだとかについて、わりとこまめにメールでやりとりをしているみたいです」
一方、教育事情に詳しいジャーナリストの石渡嶺司さんは、「昔も内心では(父親を)尊敬していたとは思いますが、以前にも増して素直な子が増えたのでは」と見る。
「少子化の影響で親との接点が多くなったため、コミュニケーションが濃くなったのだと思います。ただ、そのために両親の影響力は強くなっています。受験校を決めるにしても親に相談しますし、保護者同伴の(大学の)オープンキャンパスも増えていますしね」
くわえて、今の女子中高生はバブル後の生まれで、暗い話ばかりを聞かされてきた経済環境がある。そこで、彼女たちは「不景気でも、うちの父親は頑張っている」という風に受け取っているのだろうというのだ。
ただ、一方ではこんな調査もある。前出のピーネストの調査で、「将来、自分のお父さんのような人と結婚したいと思うか」と質問したところ、「絶対にイヤだ」と答えた人は中学生で49.0%、高校生で44.1%。「どちらともいえない」とあわせると7割近くになるという結果なのだ。
前出の石渡さんは「恋愛・結婚となると話は別なのでしょう」と話している。