「どういう容疑で拘束されたのかも分かっていません」
ただ、事件の背景については明らかになっていない部分が多く、在ミラノ総領事館も困惑気味だ。領事館では、
「報道されているような事案があることは承知していますが、拘束されたのが日本人かどうかも確認できていない状態です。イタリアの捜査当局に照会(問い合わせ)をしているのですが、『捜査中なので教えられない』ということで、回答がないんです。どういう容疑で拘束されたのかすら、分かっていません」
さらに、領事館は、捜査の経緯にも疑問を持っているようだ。
「2人が拘束されたと報じられている『キアッソ』という場所はスイス領なので、本来ならばスイス当局からジュネーブの総領事館に通報があるはずなのですが、特に通報はありませんでした。国境地帯だということで、イタリア側の警察が捜査したということなのかも知れませんが、そうかと言ってイタリア側から当方に通報がある訳でもない。非常にイタリア当局が慎重になっている、という印象を受けています」
もっと、不可解なのが、今回の「犯行動機」だ。仮に有価証券が偽造となると、その目的は何なのだろうか。国際金融アナリストの枝川二郎さんは、「詐欺目的」だと推測している。
「誰かに売りつけようと狙っていたのではないでしょうか。昔から、この類の『インチキ債券』は結構あって、不思議なことに、騙される人が多いんですね。免疫がないものだから、『あなたのためだけの銘柄です』と言われると、クラッときちゃう人もいます」