古着と手持ちの服をコーディネートした「古着ミックス」なるファッションが、若者の間で人気急上昇中だ。リサイクルショップで数百円で安く手に入れ、自分だけのコーディネートができるというのが人気の理由らしい。背景には、若者の古着に対する意識の変化がある。着なくなった服をネットオークションに出品したり、フリーマーケットで売ったりして、とにかく捨てないのだそうだ。
金をかけずに手持ちの服と交換
古着の町といえば東京・原宿、下北沢、高円寺だ。週末ともなれば各地から古着マニアが掘り出し物を目当てに足を運ぶ。古着といっても新品に比べてさほど安くもなく、1点物のヴィンテージは元値の数倍するものもある。
これが従来の古着のイメージだったが、最近はブランド品でもヴィンテージでもない、「ノーブランド」の古着を扱う店が繁盛している。
トレジャー・ファクトリー(東京都足立区)、フォー・ユー(香川県高松市)といった総合リサイクルショップは、不況下でも売上げを伸ばしている。ノーブランドなので衣類は数百円からと安い。
古着の通販サイトもいろいろある。なかでも安いと評判の「激安古着.com」は、 Tシャツが240~300円、ジーンズは300円、450円、とほとんどが1000円以下だ。
物々交換できるサイト「fazoo」も登場した。いらなくなったアイテムの写真を公開しておくと、交換したいと思ったユーザーから連絡が来る仕組みだ。お金をかけずに手持ちの服と交換でき、財布にも環境にもやさしいと人気が上がっている。
こうして安く手に入れた古着と、手持ちの服を組み合わせた「古着ミックス」というファッションが、最近、若者の間ではやっている。
SNS大手の「mixi」には、「古着ミックスが好き」という人たちのコミュニティや、「古着屋情報」を交換するコミュもあり、1万~4万人ものメンバーが参加している。
「古着のニオイ…たまらんです」というマニアも参加しているが、2009年以降に書き込まれたコメントを見ると、「最近古着MIXにはまってます」「最近古着にハマりました」「古着が好きになりただいま勉強中」などとあって、「初心者」が増えているのがうかがえる。
楽しみながらエコに貢献、も魅力
着なくなった服を捨てずに売る若者も増えている。手軽にできるのは、「Yahoo!オークション」のようなオークションサイトに出品すること。ブランド品の場合は、落札価格が元値より上回る場合もあるが、ノーブランドはそうはいかない。それでも、捨てるよりは欲しい人に使ってもらいたい、という出品者もいる。
不要品を売る場として定着している「フリーマーケット」にも、若者の参加者が増えている。
09年6月21日ごろから新宿中央公園、品川インターシティ、日暮里駅前などで開かれるフリマを見ると、ほとんどの会場で出店枠が埋まっている。
「若者の間で中古に対する悪いイメージがなくなってきています」
というのは、運営する「リサイクル運動市民の会」の企画担当者。
同会がフリマを始めた30年前は高度経済成長期で、着古した物を売ることは恥ずかしい行為だった。正体がバレないようにマスクをつけ、帽子を被って売っていたそうだ。
それが、ジーンズやスニーカーといったカジュアルな服がはやりだした頃から若者の意識が変わってきた。最近はエコブームもあって、さらに盛り上がっている。
「安く手に入るというのと、使えるものを再利用することでエコになるという意識が広がっています。楽しみながら環境保護に貢献しているというのも、フリマの魅力のようです」