ミシュランガイド掲載 京都料亭「拒否」か「歓迎」か

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   東京でも3つ星レストランが出たことで話題になったミシュランガイド。その関西版が2009年10月に初めて発売されるのを前に、伝統の考慮などを訴える京都料亭の反発ぶりが強調して報じられている。ところが、料亭がこうした報道に反論しているというのだ。

反対派?「そんなことありっこない」

ミシュランガイド関西版の作成を発表
ミシュランガイド関西版の作成を発表

   「ミシュランさん、一見さんはお断りどす」

   こんなセンセーショナルな京都弁の見出しで、老舗料亭が反発していると報じたのが週刊文春2009年4月30日号。10月中に発売される予定の「ミシュランガイド京都・大阪」版に対し、覆面調査員が京料理をよく分かっていないなどとして、掲載を拒否する料亭が相次いでいると報じた。

   ところが、誌面で掲載への心配を明かした料亭の一つが、日経トレンディネットの6月8日付記事で、文春に反論している。老舗「菊乃井」の主人の村田吉弘さんで、ミシュラン反対派扱いされたとして、「そんなことありっこない」と否定したのだ。そして、こう語っている。

「取材された方には、大前提として大賛成です、とはっきり申し上げました。その上で何か心配はないかと聞かれたのに対して、こんな心配もあるにはありますよ、でも、ウェルカムです。そこを忘れないで書いてくださいねとお願いしたのですが、結局掲載された記事を見たら大前提にはまったくふれていずに、あえて申し上げた心配の部分だけを並べて書かれて、心外ですわ」

   村田さんは、日本の料理を世界に広めるNPO法人「日本料理アカデミー」の理事長をしており、100年以上も続くミシュランガイドには最初から乗り気だったという。文春の記事については、初めに結論ありきだとして、本意とは違う部分だけを書かれたと批判している。

   もっとも、文春では、ミシュランの賛成に回った料亭の一つにも触れている。菊乃井についても、反対派とまでは書いていない。とはいえ、心配の部分だけを抜き出したことで、反対派扱いとの印象を与えたようだ。

「それぞれのお店の立場があり、考え方が違う」

   ところで、ミシュランガイド関西版について、京都の料亭は、実際にはどう考えているのだろうか。海外での知名度が上がるなどと、ウェルカムなところが多いのか。

   主だった料亭が加盟している京都料理組合の高橋英一組合長は、こう明かす。

「ミシュランに載せてほしいという店から、載せられると困るという店まであります。それぞれのお店の立場があり、考え方が違うんですよ。その割合については、聞いたことがありません。組合としては自由に任せていますし、この件についてはコメントしないことにしています」

   ただ、高橋組合長が経営する「瓢亭」では、ミシュランへの掲載については断ったという。「騒がれたり、星がいくつと一喜一憂したりするのもイヤですからね。載ってからどっとお客が来られても、常連のお客に迷惑がかかります。反対しているわけではありませんが、派手なことが好きでないので、そっとしておいてほしい。東京での大げさな騒ぎを見て、あんなふうになりたくないんですよ。断っても載せるのは、しょうがないですけどね」

   新聞記事などによると、各料亭では、掲載を断る理由をほかにいくつか挙げている。料理だけでなく客のもてなしや店の雰囲気などを含めた文化を理解していない、一時期よくなくても長い伝統の中で見るべき、といったものだ。

   日本ミシュランタイヤの広報部では、こうした声について次のように答えている。

「調査員は、東京版と同じチームですが、プロですので京料理も理解できると考えています。お店のご理解も進んできまして、報道されているより、新しいガイドはよいと歓迎の声が出ています。撮影を了解していただけなければ、写真なしでの掲載になります。しかし、特に掲載の了解を求めることではないと思っています。それは、読者のためのガイドブックを作っているという考え方からです」
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