日本マクドナルドをめぐる「強者連合」の動きが加速している。同社が以前からコカ・コーラとのパートナーシップを結んでいるのはよく知られているが、今度は、「ニンテンドーDS」のヒットで不景気の中でも業績を伸ばしている任天堂との提携が2009年6月14日、東京ミッドタウン(東京都港区)で発表された。その狙いはどこにあるのか。
「マック店内だけ」のコンテンツを提供、豊かな店舗体験の促進図る
マクドナルドとコカ・コーラの提携は、50年以上にわたる。08年秋にも、全国のマック店舗でコカ・コーラのグラスを500万個配布するキャンペーンを行い、09年も第2弾として5月28日から実施をしている。両社は景気減速の中でも比較的業績は堅調で、いわば2社による「強者連合」とも言える性格を持っている。
そんな中、新たな「強者連合」とも言える提携が発表された。
マクドナルドは09年6月14日、任天堂の家庭用ゲーム機「ニンテンドーDSシリーズ」を利用したサービス「マックでDS」を6月19日に始める、と発表。「ニンテンドーゾーン」と呼ばれるWi-Fi(無線LANの一種)の接続拠点を店内に設置し、店舗利用者が持ち込んだ個人所有の「DS」向けに、店内でのみ楽しめるコンテンツを配信する。同サービスは全国約3750店舗のうち約3200店舗で利用できるようになる。
具体的には、各店舗を訪れるごと(又は同店舗でも1日にひとつ)に、DSにキャラクターをダウンロードできる「コレクションラリー」ができたり、すでに発売されているゲームの体験版をダウンロードすることができたりする。さらに、「ポケモン」のDSソフト「ポケットモンスター プラチナ、ダイヤモンド・パール」を持っている場合は、幻のポケモンとも言われる「ジラーチ」をダウンロードすることもできる(7月19日までの期間限定)。
原田・岩田両社長が会見
東京・港区の東京ミッドタウンで行われた記者発表会では、マクドナルドの原田泳幸社長が
「今回のサービスは、これまで店舗及びサービス展開のコンセプトにしてきた『Super convenience(顧客にとって非常に便利なこと)』と『Fun place to go(行って楽しい場所)』の両方の要素を兼ね備えたもの」
とした上で、
「『マックでDS』の展開で外食産業の新しい歴史が始まる」
と、サービス展開への自信を見せた。
「DS」は、日本国内でも2600万台以上を売り上げており、同社の事実上の主力商品。任天堂の岩田聡社長は、09年4月9日に東京・有楽町の外国特派員協会で開いた会見で、
「現在は、1つのDSを複数の人で共有しているケースが多い。今後は『1家に1台』から『1人に1台』を目指したい」、「DSをどこでも使えるようにしてゆきたい」
と、さらに攻勢を強めたい考えを明らかにしたばかりだ。
今回の発表では、この方向性が一つ具体化した形で、発表会に登壇した岩田社長も
「07年秋頃から(マクドナルドとの)協業の可能性を模索してきた。このサービスを機会に、DSを外に持ち出す・持ち歩いていただき、『外でもDSを持っていると、いいことがある』という状態を目指したい。1人でも多くのお客様が(マック)店舗に足を運んでくれれば」
と意気込みを語っていた。
一方、原田社長によると、中長期的には、全店舗でのサービス展開を目指したい考えだ。