「どんな表現でも何らかの影響は与える」
ただ、「準児童ポルノ」規制に関しては、掲示板やブログなどネット上でも疑問の声が出されている。「実在の児童保護には結び付かない」「児童ポルノの定義がはっきりしない」といった書き込みのほか、「表現の自由は軽々に規制すべきものではない」とする声もあがっている。
インターネットユーザー協会(MIAU)理事の中川譲氏は、「虐待やそれを撮影することを『表現の自由』という人はもちろんいない」という。その上で、
「まずは現行法下で違法である、児童ポルノ発信者の逮捕に全力を挙げるべきだ。ほとんどの発信者が逮捕されていない現状では、最善を尽くしているとはいえない」
と話す。「準児童ポルノ」の規制についても、
「議論不足、調査不足。相談や被害の実数・実態調査など、まずは基礎的な取り組みをすべきだが、そんな調査研究は行われていない。実情は分からないが気持ち悪いから、という感情論で改正論議が進んでいる」
「マンガ論争勃発」の著書があり、表現規制問題に詳しいジャーナリストの昼間たかし氏も、
「どんな表現でも何らかの影響は与える。犯罪の恐れがある、として規制するなら、他にも際限なく表現を規制していかねばならなくなる」
と表現の自由が脅かされていることを懸念、規制を「論外だ」と断言する。
「他者の人権を直接的に侵害していない『表現物』であるアニメやゲーム、マンガを『準児童ポルノ』と呼ぶこと自体がそもそもおかしい。規制という選択肢はありえない」
前出の日本ユニセフ協会の担当者はこうした反論に対し、
「実在しないキャラクターであっても、児童を性的対象として描写すると、結果として実在の子どもが性的対象として見られることにつながりかねない」
と話している。