苦戦中「デパ地下」に未来はあるのか

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   つい最近まで「プチ贅沢」ともてはやされていた「デパ地下」がさえない。主力の総菜の売上高が大きく減少しているのだ。不況の影響がここまできたのは確かだが、「デパ地下」に未来はあるのか。

4月の百貨店売上高「総菜」は前年同月比8.3%減

   日本百貨店協会が2009年5月27日に発表した4月の百貨店売上高を見ると、「食料品」は前年同月比4.8%減だった。内訳は、生鮮食品が同3.3%減、菓子も同3.9%減。なかでも、「デパ地下」の主役でもある総菜は、前年同月比8.3%減だった。総菜に限っては09年1月には1.6%減だったのが、2月には同7.8%減、3月には同6.7%減と大幅なマイナス状況が続く。

   デパ地下の総菜や弁当などは品質の高さもあって、単価が高かった。たとえば、総菜では100グラム200~300円、お弁当でもものによっては1000円以上した。デパ地下をよく利用するある女性会社員は、「いつもは買えないが、味は確かでおいしい。夕食作りをちょっと手抜きしたいとき、ちょっぴり豪華にしたいときには購入する」と話す。

   ただ、購入する際には同じ金額でも買える量が増えた、と感じているそうだ。例えば、3パック1000円という具合で、まとめ売りしているのもよく見かけるようになった。お得感という意味でよくなっているのでは、という。

「デパ地下」という言葉には訴求力がある

   大手百貨店・西武池袋では2009年3月から、総菜ブランドとは別に、ワンコイン(500円)で買えるお弁当(牛カルビ焼き肉弁当、日替わりおこわ弁当、ねぎまぐろ丼、他多数)の販売を始めた。一方、松坂屋銀座でも500円弁当が登場し、「1日平均300個」(松坂屋銀座広報)が売れるなど評判を呼んだ。西武池袋の広報担当者が「『お得感がある』『おいしい』というような、ウリが2つくらいないとお客さんが来ない」というように、価格を下げてでもお客の呼び込みには力を入れているようだ。

   矢野経済研究所のライフサイエンス事業部の大越忠広研究員は、「スーパーやコンビニエンスストアの惣菜に比べると、(デパ地下総菜の)相対的に割高な価格は購買心理に少なからず影響を与えていると考えられます。そのために、タイムサービスや企画商品の実施で顧客を呼び込みたいというわけです」と指摘する。

   ただ、価格とそれに見合った品質がデパ地下総菜の「価値」とすると、行きすぎた低価格販売は、本質を見失ってしまいかねない。

   では、デパ地下に未来はあるのか。大越研究員は今後の展開について、次のように話す。

「メジャーブランドでは集客が見込める場所――都心部や有力な地方都市での出店が集中する傾向が強まり、採算性の低い店舗では収縮の方向に進むと思われます。5~10年前のデパ地下ブームとは違って、出店すれば儲かる状況ではなくなっています。そこで、百貨店側は今後、自社運営するオリジナル総菜などを仕掛けていくでしょう。『デパ地下』という言葉には訴求力があります。量販店やコンビニと対抗して、顧客を確保するためには、値頃感のある商品の投入が必要、というわけです」
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