劇場の営業権との兼ね合いが問題
メディアの問題などに詳しい紀藤正樹弁護士は、フライデーの写真掲載について、まず次のような点を指摘する。
「だれが撮ったのか特定できなければ、訴訟は難しいでしょう。編集部のカメラマンが撮ったのか、客が写真を持ち込んだのか、ということもあります。罰金は、写真を撮った人に課せられるというのですから」
特定できないとしても、劇場が営業権侵害を訴えることはできる。とはいえ、紀藤弁護士は、表現の自由との兼ね合いをどう考えるかという問題が残ると言う。
「一般的に言いますと、国民の知る権利という点で、表現の自由が優先される可能性があります。売り上げが減少したとしても、それが掲載したことによるものか、人気が落ちたことによるものか、因果関係が証明できないと思います。講談社が勝つ可能性が高いでしょうね」
もっとも、営業権や人格権を認めて、10~20万円の損害賠償を認められた判例もあるという。「劇場側が勝つ可能性がないとは言えません。しかし、同じくらいの慰謝料程度の額で、大きな金額にはならないと思います」
結局のところは、ステージ写真掲載のニュースバリューによる部分が多いと紀藤弁護士は言う。
「コンサートの写真は、無断で撮っていいわけではありません。社会的にみて、記事の重要性が求められます。どうでもいいような写真なら、劇場側が勝つことになるでしょう。そのあたりは、裁判官の判断になりますね」