欧州に不安材料「東欧ショック」が引き金か?
「景気は底を脱した」というエコノミストは少なくないが、このまま景気が右肩上がりで回復していくかは不透明だ。実際に、内閣府などが発表した経済指標は「玉虫色」。日本銀行が発表した5月の企業物価指数は、前月比0.4%減で、9か月連続で下落。デフレが懸念されている。
また、内閣府の4月の機械受注統計(季節調整値)では自動車や電機の受注は増加したものの、民間設備投資は前月比5.4%減った。モノを積極的に増産していこうというムードにはまだない。
あるエコノミストは「いまの投資マネーは、限られた資金が右(債券など)から左(株式)に動いているにすぎない」と分析、株式市場が本格的に活性化するにはなお時間がかかるとみている。
さらに気になるのが欧州の動向だ。国際金融アナリストの枝川二郎氏は、「景気底入れムードと根強いオバマ人気から米国の景気回復への期待が高まり、逆に欧州の景気悪化の深刻さがクローズアップされる。今後、欧州が(株価下落の)引き金になる可能性はある」と指摘する。
枝川氏はこう続ける。「欧州はスペインやアイスランド、ハンガリーなど、バブル崩壊の影響が大きな国が息を潜めている状況。たとえば、ここ数年のドイツ経済を支えたのは東欧でのもうけで、その意味で東欧と西欧の経済は一体化していた。しかし、だからといって西欧がいまの東欧を助けることはできない。ドイツやフランスも、自分たちが苦しい中ではなかなか難しい。欧州は一つのようでも、一つではないということだ」
欧州経済の悪化が、国内の輸出産業に再びダメージを与えて、株価を押し下げる。そのときが「2番底」になる心配がある。