「学校裏サイト」監視を民間委託 東京都、北海道など全国に広がる

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   「学校裏サイト」の監視を民間のIT関連会社に委託する動きが全国に広がっている。東京都は都下の公立小中高約2200校を対象に初年度約1900万円の予算で、2009年6月中にも監視活動に入る。ネットパトロール会社には自治体や私立校からの問い合わせが殺到、従業員を緊急に募集しなければならない事態にまでなになっている。

一校あたりの基本料金は月額10万円

   監視を民間企業に委託する学校が急激に増えたのは09年4月から。自殺やイジメ、不登校の原因の一つといわれる「裏サイト」だが、事態を重く見た文部科学省が08年3月に小中高の「裏サイト」は3万8260あるとの調査報告書を提出。対策を自治体や学校に求めた事がきっかけだった。

   業者への監視を委託、もしくは検討している自治体は東京都、北海道、三重県、北九州市など全国に広がっている。東京都は09年6月初めに入札を行い、ある業者が1900万円で落札。6月25日に都の教育委員会に報告した後に監視をスタートするが、これに先駆け、東京都江東区では09年4月から347万円の独自予算を組み、区内22校の「裏サイト」監視を委託している。

   江東区が委託したのはインターネットのコミュニティーサービスを手がけるガイアックス。同社は08年11月に「裏サイト」の監視サービスを始め、現在は江東区の他に三重県の236校、私立15校の監視を引き受けている。一校あたりの基本料金は月額10万円。問題のあるサイトを発見し、毎日監視する。

   不適切なものが見つかれば学校に報告して、サイトの管理者に削除要請をする。学校に月一回レポートを提出するとともに対策のアドバイスをする。同社はこの4月から自治体や教育委員会、先生方からの相談が一気に増えたとし、

「教育現場は忙しく、充分にサイトを監視できない、という問題があるようです。苦しんでいる生徒さんを見るといたたまれない、と悩んでいる方もいます」

という。監視の申し込みはこれからも相当数増えると見込んでいる。

学校の先生は専門知識と経験が無い?

   監視を業者に委託する自治体や学校が増える一方で、石川県などは「民間に丸投げはできない」「教師が責任を持つべき」として、教員による対策チームを作り監視に当たっている。これについて、08年6月から「裏サイト」の監視サービスを始めたスウィングバイ2020は、

「パソコンを使える先生なら裏サイトの特定まではできますが、専門的な知識や経験がなければ、根本的な解決は難しいと思います」

と打ち明ける。裏サイトで問題なのは、生徒の名を語った、「なりすまし」と、サイトからの「逃亡」。なりすましかどうかを判断するには「裏を取る」ことが必要だ。また、サイトに先生がアクセスして来たと分かれば、そのサイトは捨てられ別の新しいサイトが立ち上がる「いたちごっこ」が繰り返される可能性がある。

「いたちごっこにならないよう、私達が発見・監視する場合は必要以上のアクセスはせず、突きとめる方法を用います」
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