不況下で外食を控える人が増えるなか、レストランで通常価格の5~8割引きで食事ができるサービスが話題になっている。フレンチのコースも通常価格1万2000円が6割引きの4800円、伊勢エビの姿造りのコースも2037円で食べられる。それでも店にとってはメリットがあるそうだ。
通常価格の5~8割引きで食事ができる
レストランで通常価格の5~8割引きで食事ができるサービスを行っているのは、モバイルサイト「試食会.jp」。フランス料理、スペイン料理、インド料理、といった都内レストラン33店舗(2009年6月8日現在)で、格安料金で食べることができる。
魚河岸ダイニング魚魚魚(神田)は、伊勢エビの姿造りのコースを61%引きで提供する。前菜3種、佐賀牛のたたき、伊勢エビ姿造り、刺身姿造り、かに姿盛り、本日のオススメ品、活しめ穴子の天ぷら、佐賀牛と野菜の特製蒸し鍋、特上にぎり寿司、デザート、と盛りだくさんで、通常価格5093円が2037円になる(試食会.jpの特別価格、6月8日現在、以下同じ)。
フランス料理店エルブランシュ(麻布十番)では、無農薬野菜を使った前菜、フォアグラのポワレ、本日の魚料理、本日の肉料理、プチデザート、本日のデザート、コーヒーのコースが通常1万2000円のところ6割引きの4800円。
試食料金で食べるには、会員登録(無料)をしてモバイルサイトにアクセスし、日時の予約をすれば完了だ。
不況下で外食を控えている人もこれならお得に食べられる、と続々と会員が増えている。運営しているリゾルブ(東京都新宿区)によると、サービスを本格的に開始した08年12月23日からおよそ半年で、3万人が登録した。
一方、5~8割引きで提供すれば、店はお客が来るほど足が出るのではないか。
リゾルブの広報担当者は、こう説明する。
「レストランにとって空席が出ると人件費や食材が無駄になり、ロスでしかありません。平日の午後5~6時は空席になりやすく、その時間に新規の客を呼び込もうというのが狙いです」
「タダ」のカフェ、アイス新商品無料配布店…
安く提供しているといっても、材料費分は確保できている。それに、飲み物代は通常通りで、そこから利益を見込める。店は月会費9800円(1年契約の場合。2年契約は5000円)に加えて、成果報酬1人あたり500円を払うが、それを差し引いても、ある店は2か月間で新規客427人、50万円の収益を出したという。
さらにお客のリピート率は平均5~10%、とまずまずだ。今後は全国にサービスを広めていく。
「タダ」で食べられるカフェも登場した。
おかきとおせんべい、コーヒー、ほうじ茶、オレンジジュースを無料で提供する「フリーカフェ」は 東京・虎ノ門に09年5月にオープンし、年内に銀座、大阪にも出店する。
運営しているのは老舗の米菓製造販売業、播磨屋本店(兵庫県豊岡市)だ。オフィス街なので、普段はおかきを食べない若いビジネスマンも多く訪れる。お客の6割が「食べてみたらおいしかった」と販売コーナーで買っていく。
新商品が無料で食べられる、と話題になったのはアイスクリームのチェーン店、コールド・ストーン・クリーマリー。もっともタダなのは1日だけ。新商品のフローズンドリンク「クーリーズ」5種類の中から1つ選び、通常480円で売っているミニサイズ「Like It Size」を全店舗で5月20日に配ったところ、大盛況だった。
試食の域を超えた試みが広がっている。