ここ1年間で、学生5人が犠牲
コールのDVDとは、2005年から発売されている「全日本コール選手権」のことだ。内容は、有名大学のサークルがイッキコールを競うもので、これまでに3回、選手権大会が開かれている。審査委員長は、イラストレーターのみうらじゅんさんらが歴任した。ただ、ホームページ上では、「出場者たちの健康状態を随時チェックし、突発的な事故が起こらないよう、万全な対策を整えた上で行っておりますので、安易な気持ちで真似をしたり、嫌がる相手にムリヤリ飲ませるのは絶対にやめましょう!」とイッキ飲みそのものは推奨していない。
「イッキ」という言葉は、お笑いコンビとんねるずによる1984年の歌で知られ、慶大体育会が「イッキ!イッキ!」で流行語大賞を翌年に受賞して広まった。しかし、イッキ飲みによる死亡事故をきっかけに、1993年から民間の防止キャンペーンなどが展開されるようになっている。
それでも、イッキ飲みの事故はなくならず、キャンペーンを手がけるイッキ飲み防止連絡協議会によると、2009年3月までの1年間で学生5人が犠牲になった。協議会事務局の馬場亜紀子さんは、ダービーゲームについて「初めて聞きました」としながらも、こう話す。
「イッキ飲みの速さを競うゲームには、集団によっていろんな呼び方があるようです。また、自己紹介で失敗したりすると、コールではやして飲ませることもあるようですね。イッキ飲みがなくならないのは、集団ごとにきずなを確認する道具として使っているからでしょう。今の学生には、気の弱さも見え、拒むことでけんかになるのを恐れています。コミュニケーションできないから飲んでしまうわけです」
イッキ飲みをどう防ぐかについては、馬場さんは、「アルコールについての教育が足りないと思います。飲み方を間違えると、命を奪われる薬物であることを教える必要があります。口先だけではなく、実際に飲み方を教えるなど、命を守る意識に訴えかけなければなりません」と話している。
(追記:京都地検は2009年6月26日、6人全員を不起訴処分とした。)