鳩山邦夫総務相が西川善文・日本郵政社長の続投を認めない方針を明らかにしている問題で、野党からは「閣内不一致」との声が相次いで上がっている。そんな中、テレビ番組で「続投支持」の自民党幹部に対して公明党幹部が「西川社長辞任も選択肢」と、公然と異論を唱えたのだ。いわば、「与党内不一致」ともとられかねない事態に発展しそうなのだ。
公明党の高木氏が「西川辞任論」言い出す
日本郵政の問題をめぐっては、同社は2009年6月末の株主総会で、西川社長を含む9人の取締役全員の再任を提案する方向を明らかにしている。同社の全株式は政府が保有しており、麻生内閣は「続投」の方向で調整を進めていると見られている。
一方、人事の認可権は総務相にあり、鳩山氏は「かんぽの宿」売却問題などから、「続投は認めない」という趣旨の発言を繰り返している。いわば、「閣内不一致」の状態なのだが、これに加えて、「株主総会では続投が認められたのに、その人事を総務相が認めない」という前代未聞の事態が起こりつつあるのだ。
このことから、中川秀直元幹事長など、党内からは鳩山氏の大臣辞任を求める声すらあがっている。
これに加えて、「与党内不一致」ともとられかねない発言が飛び出したのだ。09年6月7日朝、テレビ朝日系で放送された「サンデー・プロジェクト」の中で、西川社長の続投問題も議論のテーマとして取り上げられた。ここで、自民党の石原伸晃幹事長代理が、
「まずおかしいのは、民営化された会社ですから、取締役会で続投が決まっているのと、経営委員会等で『西川さんでいいじゃないか』となっている。鳩山大臣は認可権があるだけなんですね。ですからやっぱり、民間のことに、大臣の許認可権を盾にして話を言うことが根本的におかしいと思う。麻生総理が決断をすると思う」
と、「続投支持」を表明。鳩山氏の姿勢に疑問を呈した。
これに対して、司会の田原総一朗氏が、公明党の高木陽介選対委員長に対して
「麻生さんはどうすべきだと思う?」
と水を向けると、
「それはやっぱり鳩山さんと話し合って、辞めるということが、ひとつの決着のしかたなのではないかと」
と発言。田原氏が
「誰が辞める?」
と念を押すと、
「西川さん」
と、西川氏が辞任するのが望ましいとの見方を示した。
鳩山総務相「続投を認めず、辞任もしない」
これに対して、野党である国民新党の下地幹郎政審会長代行も、横から
「西川さんがやめないといけないですよ、西川さんが」
と加勢。これらのやり取りに対して、石原氏は
「私はそうは思いません。麻生総理が最終的には調整されますけれども、私は西川社長が続投すべきだと思います。要するに、黒字を出している会社の社長を、かんぽの宿のことだけをもって辞めさせるのはおかしい。鳩山総務大臣も麻生総理と親しい方なので、そこは話し合いの中で、(株主総会が行われる頃の)6月の26日、27日までに結論が出ていると思います」
と、改めて西川社長の続投を支持し、両党の「続投問題」に対する立ち位置の違いが浮き彫りになった形だ。
また、当の鳩山氏は、6月8日朝の段階でも、
「こんな話に落としどころなんてある訳がない」
と述べ、従来の「続投を認めず、辞任もしない」という方針を繰り返した。
一方、世間の受け止め方は、自民党に対して「逆風」になっている様子だ。フジテレビ系の情報番組「サキヨミLIVE」が行ったアンケートでは、実に8割が「辞任すべき」と回答。ただし、鳩山氏の姿勢を支持する声は58%にとどまってもいる。