2010年に南アフリカで開催されるワールドカップ(W杯)への出場を決めたサッカー日本代表。岡田武史監督は本大会で「ベスト4を狙う」と公言しているが、前回ドイツ大会では1勝もできなかっただけに、本当に実現できるのかと疑問符もつく。果たして「ベスト4進出の可能性」はどれくらいあるのか。
岡田監督「僕はベスト4にいけると信じている」
4大会連続のW杯出場を決めた瞬間は、およそ1000人のサポーターが紙吹雪、紙テープで祝福。(写真はブログ「世界一蹴の旅」を綴るアシシさんからの提供。「勝利の瞬間はまさに、歓喜の渦に包まれました」)
W杯行きの切符をかけたアジア最終予選のウズベキスタン戦は2009年6月6日、同国タシケントのパフタコル競技場で行われ、日本は1-0で競り勝った。前半9分、岡崎慎司選手がヘッドで決めた1点を全員守備で死守。1998年のフランス大会以来、4大会連続でのW杯出場を決めた。
もっとも、W杯に行くだけではファンは満足しない。岡田監督も「ようやくスタートラインに立てた」と目標は先にあることを明言している。ウズベキスタン戦後に行われた記者会見では、本大会での可能性について
「僕は(W杯)ベスト4にいけると信じていますから、当然強くなっていなければベスト4なんかにはいけない。我々には1年という期間があるので必ずや行けるチームにしたいと思いますし、それができると思っています」
と自信をみせた。
しかし、日本代表のW杯での通算成績は10戦して2勝6敗2分と大きく負け越している。前回のドイツ大会では1勝もできずに予選リーグで敗退しており、岡田監督の言葉を信じていいのか不安が残る。
W杯進出の瞬間を現地で目撃したサポーターの一人、アシシさん(J-CAST会社ウォッチでサッカーコラムを連載中)は
「(勝つには勝ったが)押されている印象があったので、不安に感じた。日本はまだまだ、1点差勝負になったときにバタバタとしてしまう印象がある」
と課題を口にする。
「救世主」か、それとも「経験豊かなベテラン」か
『熱病フットボール』などサッカー関連の著書が多数あるスポーツライターの金子達仁さんも「『ベスト4』という目標を達成するのは、容易なことではない」と厳しい見方だ。スポーツニッポンのコラム(09年6月7日付け)で「ファンも含めて、日本人のメンタリティーはそこまで達しているとは言い難い」と指摘している。
では、ベスト4進出のために解決すべき課題は何か? 特に気になるのは、過去3大会を通じて言われ続けている「得点力不足」の解消だ。
ウズベキスタン戦で決勝ゴールを決めた岡崎選手は23歳と若く、さらなる成長が期待されるが、イタリアのセリエAで活躍する森本貴幸選手(21)の招集を待望する声も強い。SNSサイト「mixi」の「サッカー日本代表」コミュニティでも、
「森本も確実にあるだろう。ものにできるかは、努力次第だけど、90分走れるとイタリア紙に評価されているから、そろそろ使えるかも」
「森本は、セリエAでの成功に慢心するような性格ではなく、来期は確実に2桁とって文句なしのエースになります! なので、早いとこ呼んでほしい」
と、森本選手に期待するコメントが書き込まれている。一方、新しい「救世主」ではなく、経験豊かなベテランを抜擢すべきだという意見もある。
「とかく日本人は若い選手にワッと群がる傾向があるが、彼らが本大会で結果を出せるかどうかは完全に未知数である」
そのように苦言を呈する金子達仁さんは「経験値を持つ選手」として、柳沢敦選手(32)の名をあげる。ドイツ大会のクロアチア戦で決定的なゴールチャンスを逃し、批判を浴びた柳沢選手だが、W杯の怖さを知り尽くしているだけに今度こそ期待できるのではないかとの考えだ。
「クロアチア戦でのミスを、3年間自問し続けてきたであろう男に期待する」