10円、5円、1円玉の流通減少 いずれ、なくなってしまう??

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   10円玉、5円玉、1円玉の流通高が減っている。どうやら電子マネーの利用者が増えたせいらしい。ひょっとして、貨幣はいずれ、なくなってしまうのだろうか。

電子マネーの普及でおつり需要が減る

   日銀の統計データの通貨流通高を見ると、2004年1月には流通高2297億円だった「50円」は、2009年4月には2212億円。同様に、「10円」は2071億円が2024億円、「5円」は623億円が586億円、「1円」は408億円が402億円だった。反対に、「100円」は10156億円が10357億円、「500円」は17552億円が19494億円とやや増加している。

   第一生命経済研究所の熊野英生さんは、この要因について、「電子マネーの普及で、1円、5円、10円などのおつり需要が減ったからだ」と指摘する。電子マネーの発行枚数が顕著になったのも04年頃で、小銭の流通高が減った時期とも重なるという。また、06年3月には硬貨流通高が前年同月比0.04%減を記録。日銀によれば、前年春から伸び率が鈍化しており、1971年1月以来初めてのマイナスだった。

   なお、100円や500円が多少でも伸びている理由はいまひとつはっきりしない。

   電子マネーは2001年、「Edy」や「Suica」の利用が始まり、その後は2007年にはセブン&アイ・ホールディングスの「nanaco」、イオン「WAON」、首都圏の鉄道・バスで利用できる「PASMO」などが相次いで参入。日本銀行決済機構局の資料によれば、08年3月末には発行枚数は8000万枚を超えている。交通系の電子マネーが相互で利用できる利便性や、流通系カードではポイントが付与されるなどのお得感がある。

理論的には、将来なくなる可能性も

   とはいえ、電子マネーの利用増による通貨流通の減少に問題点はないのか。前出の熊野さんは「大量の小銭を持ち歩くことなく楽に決済できる電子マネーは、利便性の方が大きい」とした上で、こう話す。

「貨幣の流通量が減ると、『貨幣がなくなるのでは』という議論にはなりやすい。たしかに理論的には、将来そうなる可能性もあります。しかし、現在では電子マネーが利用できる決済が限られています。あまりに高額な決済は出来ませんし、電子マネーが貨幣に取って代わるようなことがすぐに起こることはありえません」

   一方、日本銀行決済機構局の中山靖司さんは、

「電子マネーの決済はいまのところ、あくまでも小銭のレベルですから、すぐには影響があるとは考えていません。ただ、将来、大口や新しい使われ方をされたら、万が一ということがあります。調査を続けている段階です」

と話していた。

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