「フラガール」出資会社ゴタゴタ 映画ファンドはダメなのか

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アメリカほどシビアなファンド運営が求められていない

   JDC信託は、旧通産省の研究会を母体に、1998年に創業。2000年に東証マザーズに上場し、法改正により05年に銀行以外では初の信託業に参入した。06年の「フラガール」の大ヒットで、映画ファンドの運用が軌道に乗り始めた。アニメやゲームなども扱っているが、その後、ゴタゴタ続きで業績が低迷している。

   日本の映画ファンドは、信託会社は同社だけ。総務部長は、ヒット作がないことなどについて、「フラガールなどは収益に直結しているわけではありませんが、経営トップの意識が弱かったと考えています。管理体制や法令遵守などの点で、経営のあり方に問題があったということです」と説明する。

   国際金融アナリストの枝川二郎さんは、アメリカほどシビアなファンド運営が求められていないことが背景にあるとみる。

「ハリウッドでは、投資家が映画の完成前に見て、ストーリーを変えさせることがあると聞いています。自分がお金を出しているという意識があるからです。監督も芸術家として譲れないので、そのせめぎ合いは激しく映画制作に緊張感があるようですね。確かに、投資家は、金もうけだけでなく、映画に夢も求めています。ヒットしたり賞を取ったりすれば、自慢できますからね。しかし、日本では、どちらかと言えば小金持ちの道楽で、投資を趣味的に考えています。だから、金融面のノウハウなどファンド運営がちゃんとしているか、シビアに見ない面が強いのでしょう」

   映画ファンドが官主導で始まったことについて、「お役所がやりたいと言い出し、民間を指導してうまくいったためしはありません。特に、新しくて試行錯誤が必要なビジネスモデルではそうです」と指摘。日本では、保険会社や銀行の出身者が経営しているが、枝川さんは、「映画はハイリスク・ハイリターンで、金融のローリスク・ローリターンとはビジネスモデルが違います。伝統的な金融機関の考え方ではダメで、きちんとリスク管理ができるノウハウのある人がやるべきでしょう」と話している。

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