再建の行方は混沌?
とはいえ、スティール主導の経営が順調に進む保証はなく、むしろ混乱が続く可能性もある。新社長に就任した渡辺氏は、収益改善策として女性用かつら事業の強化や不動産売却による資産のスリム化を掲げているが、こうした試みは旧経営陣も着手していた内容。虎の子の資産をスティールの紹介先などに「安値」で売却することになれば、アデランスの長期的な収益と短期的な売買で利益を狙う株主との利害が対立する場面も予想される。
6月4日、アデランスは新経営体制を発表した。渡部社長は記者会見で「企業価値の向上に力を入れたい」と述べたが、具体策については「1カ月以内にまとめたい」と述べるにとどまった。