新たな国際基準に神経尖らす
一方、邦銀は普通株の比率が低い。普通株で増資すると、1株あたりの利益が薄まり、株価下落の懸念があるからだ。だが、自己資本比率の国際基準見直しの協議は09年秋以降に本格化する。大手行は「公的資金でかさ上げされた米銀との比較は納得できない」と不満を募らせながらも、「米当局の基準が国際基準に盛り込まれる可能性が高い」と慌てた。株価下落も覚悟で、三井住友が最大8000億円、みずほも最大6000億円という大型の普通株増資を急きょ表明した。
増資は貸し出し余力を高め、経済を前向きに動かす材料となるはず。だが、今回は守勢に回っての増資だけに、大手行が新たな国際基準をにらんで、自己資本比率を維持しようとすれば、融資の圧縮に動かざるをえず、「貸し渋り」をさらに悪化させかねない。