東京・虎ノ門におかきとコーヒーなどの飲み物を無料で提供する「フリーカフェ」が登場した。この不況下に「0円」でティータイムを過ごせるというだけあって、連日、近くに勤める会社員で賑わっている。フリーカフェなるビジネスはどう成り立っているのか。
サラリーマン憩いの場?全114席が満席
おかきと飲み物が全部タダ、と人気を呼んでいるのは、「フリーカフェ播磨屋ステーション東京霞が関」(東京・虎ノ門)だ。8種類のおかきを、コーヒーやほうじ茶を飲みながら、座って試食できる。1人でも多くの人に食べてもらいたいという店の意向で、おかきは1人1皿までと決まっている。
おかきを販売していた店を改装して、2009年5月にオープンした。運営している播磨屋本店(兵庫県豊岡市)によると、平日は会社員や近くの虎の門病院の利用者の憩いの場となり、午後には全114席が満席に。1日の利用者は1000人にものぼる。
播磨屋本店は1860年頃に創業した老舗の米菓製造販売業で、全国に直営店を12店展開する。年商は70億円ほどで、「常連さんにご愛用いただいているので、直営店を増やさなくても(経営は)安定している」と同社はいう。
フリーカフェを出店した理由については、こう説明する。
「今まで買っていただいたお客さまへのご恩返し、というのが第一にあります。店では商品の販売もしていますので、買っていただければなおありがたいですが。また、若い方もいらっしゃるので、当社の環境問題への取り組みについて知ってもらいたいという社長の願いもあります」
霞が関店に訪れる客のおよそ6割が、「食べてみたら、おいしかった」「タダで申し訳ないから・・・」などの理由で商品を買っていくというが、それだけでは店舗運営にかかるコストのもとを取れないだろう。同社の担当者も、「売上げが大きく下がるほどではないが、経費はかかる」と話している。
フリーカフェ・ビジネスは、どのように成り立っているのだろうか。