佐賀県の母親(35)が、女子中学生の2人の娘に売春を強要し逮捕・起訴された。この事件に限らず、母親が中学生の実の娘に売春させるケースが相次いでいる。生活に困っていたとはいえ、なぜなのか。
「パチンコで生活が苦しくなった」
佐賀県の事件は、無職の母親が携帯電話の出会い系サイトで客を募り、2008年秋ごろから当時中学三年生だった娘に売春をあっせん。その妹も09年2月ごろから売春させた。母親は娘をホテル付近の待ち合わせ場所に車で送迎し、客が支払った1万円~1万5千円の一部を受け取っていた。
「母親はパチンコなどの借金で生活が苦しくなったことから娘に十数人を相手に売春させ、娘が受け取った代金の一部をもらって生活費に充てていたとされる」(毎日新聞地方版09年5月9日)
娘達は「母親には逆らえなかった」という。また、複数の娘の同級生にも売春させた疑いが強まり、佐賀県警は追送検する方針だ。
母親が実の娘に売春をあっせんするというニュースが後を絶たない。和歌山市では、07年5月ごろから08年3月ごろまで、女子中学生の娘を常習的に売春させたとして娘の母親と義父が逮捕された。2人は娘の電話代が高いと怒り、「体売ってでも金をつくれ」「私も昔援助交際していた。お前に援助交際させても何とも思わない」などと少女に売春を強要。娘が売春で得た金は100万円を超え、母親達はパチンコなどの遊興費に使っていた。
08年12月5日付けの朝日新聞(地方版)は、和歌山の母親の初公判を記事にしている。母親が検察に「娘が(売春で)つくってきた金で遊んでいるとき、娘のことは考えなかったのか」と聞かれると、「考えませんでした」。自身も10代のころ売春をし、母親に金を渡すように育てられてきたと供述。金を作らなければ母親が父親に暴力をふるわれるからだったという。現在の生活も同じで、「お金を入れないと夫がいらいらして、子どもや私にあたる。浮気相手のところにも行ってしまう」と説明したのだそうだ。
静岡県では09年4月22日、中学生だった実の娘に売春をさせていたとし、パート従業員の母親(55)が逮捕された。母親は08年6月から7月ごろ、静岡市内で血縁関係がない元夫に買春を持ち掛け、複数回にわたりみだらな行為をさせた。受け取った現金数万円は生活費に充てた。娘は売春が嫌だったものの、「断れなかった。小遣い欲しさもあった」のだという。この事件は、元夫が良心の呵責に耐えられなくなって自首し、発覚した。
「もともと子供を産む資格がなかったのではないか」
生活が苦しい、遊ぶ金が欲しい、「自分も昔やっていた」など理由は様々だが、ネットでも衝撃が広がっている。
「親による子供の『人身売買』のようなもの」
「もともと子供を産む資格がなかったのではないか」
といった意見や、
「生活苦だったならば、自分で働いて稼ぐ気はなかったのか。娘に売春を強要するくらいなら母親が売春する方がまだ親としてましな気がする」
といったものまで出ている。
静岡英和学院大学の佐々木光郎教授は読売新聞(08年9月15日)で、こんな見方を披露している。売春をした少女たちに耳を傾けると存在感のない父親が浮かび上がる、とし
「(父親は)子育てに関心が低く、一緒に風呂に入った経験すらない。大人の男性を忌み嫌う一方、優しい父親像に強いあこがれを持っていた」