海外自動車メーカーが続々と購入支援キャンペーンを打ち出している。日本メーカーと違って「エコカー減税」や「新車購入補助制度」の対象車が少なく、消費者に訴えるきっかけに欠けるからだ。そのため、政府の制度と似た、各社独自のキャンペーンを打ち、実質的に値下げすることでお客の取り込みを狙っている。
フィアット、ベンツ、ボルボ、GMで買い換えキャンペーン
イタリア車のフィアット グループ オートモービルズ ジャパンは、「FIAT ECO SUPPORTキャンペーン」を09年4月10日から開始した。車齢13年超の車を廃車にして、「フィアット」「アルファロメオ」「アバルト」に買い換えると25万円を還元。また、フィアットの小型車3車種を下取りすることで10万円安くするという。
また、メルセデス・ベンツ日本も新車購入時、09年5月8日から割引クーポン券を提供している。対象は「メルセデス・ベンツ E 320 CDI」、「スマート フォーツー mhd」全車種、「メルセデス・ベンツ Cクラス」全車種。クーポンの金額は自動車重量税と自動車取得税相当分で、順に45万円分、10万円分、25万円分となっている。購入時にその場で利用できる。
さらに、ボルボ・カーズ・ジャパンは、「DRIVe買い換えサポートキャンペーン」を09年5月22日から実施中だ。1年以上所有する車齢10年超の乗用車を下取りに25万円を還元。全9モデル29車種が対象(一部対象外あり)。そして、ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパンも、購入時に25万円が支援される「GM車買い換えサポートキャンペーン」を09年6月1日に始めた。GMでは車齢7年以上の車が対象で、下取りか廃車にする場合に適応される。
エコカー減税で消費者の目が車に向いている
なぜ、海外自動車メーカーはこぞって、同様のキャンペーンを行っているのか。それは09年4月1日に施行された「エコカー減税」、09年度の補正予算案に盛り込まれている「環境対応車への買い換え・購入に対する補助制度」が関係している。いずれも、燃費・排ガス性能が一定基準に達している車を対象に、減税や補助金が適用されるというものだ。ただ、経済産業省製造産業局自動車課によると、輸入車の場合、この基準に達するのは4割という。
日本自動車輸入組合の担当者は、「『エコカー減税』もあって、いまは消費者の目が車に向いている」と指摘する。こうしたこともあって、5月の新車販売台数は前年同期比プラスになるといわれている。
そうした中、前出の担当者は「輸入車には減税対象車が少ない。そこで、各社が政府と同等の支援キャンペーンを打ち立てているのだろう」という。なんらの手立てを行わず、手をこまねいているわけにもいかない。
「消費者は価格に対してセンシティブになっています。今後、同等の取り組みをするメーカーが増える可能性もありそうです」