一昔前は3万~5万円もしたメガネだが、最近では5000円から買える店も多い。実質的に値下げしたり、薄いレンズを導入したり、サービスに力を入れるなど、あの手この手で競っている。
「5000円でも品質のよい商品を提供していきたい」
メガネブランドのZoffは2001年、他社に先駆けて、低価格メガネの販売をはじめた。価格はレンズ代込みで5250円、7350円、9450円の3価格を用意した。それまでメガネは高額で、レンズとフレームは別々に売られているのが一般的だった。
3つの価格はデザインや素材の違いなどによって異なる。5250円のものは比較的シンプルで単色、プラスチック素材が多い。一方、9450円のものはデザインが複雑で、フレームにはチタン素材のものもある。おしゃれなデザインが多いZoffのメガネは常時1200種類以上が用意され、若年層を中心に人気だ。
ただ、セットレンズを別のレンズに変える場合には、追加料金がかかる。「薄型非球面レンズ」が5250円、「超薄型非球面レンズ」では7350円から9450円。「非球面レンズ」とはレンズカーブが浅いレンズで、度が強い人、あるいは遠近両用メガネにしたい人が選んでいる。
もっとも、Zoffの標準レンズは他店よりも薄く、見やすいのが特徴だと同社はいう。また、3プライスの比率は5:2:3としており、とくに5250円商品には力を入れている。最近では、やや複雑なデザインのフレームでも5250円で売ることもあるという。
薄型・超薄型のレンズでも追加料金なし
眼鏡店「ジンズグローバルスタンダード」も最近、価格の改定を行った。運営会社のジェイアイエヌの発表(2009年5月25日)によると、フレームとレンズのセット価格を4990円、5990円、7990円、9990円の4つとした。(従来はフレーム+レンズで5250円、7350円、9450円。)
くわえて、これまではセットレンズ以外の薄型・超薄型のレンズが欲しい場合には追加料金がかかっていたが、これをやめた。今後、どのレンズを選んでも、追加料金を取らない。これにより、メガネの価格は最大で66%値下げとなるという。
ジェイアイエヌ広報は価格の見直しについて、「5250円で買えるといううたい文句でこれまでやっていたが、レンズを変えるお客さまにとっては結局、1万円以上になってしまっていた。購入者の3~4割がレンズを交換していたこともあり、今回、この点を改善した」と話している。
利用者の評価をもとに順位付けされるサイト「クチコミランキング」で評判を呼んでいる眼鏡店は、エヌ・ティ・コーポレーションが展開する「Coolens(クーレンズ)」だ。同店ではフレームとレンズのセットが5250円、7350円、9450円の3価格用意されている。フレームは2000種類以上あるが、標準レンズ以外は別料金がかかる。
クーレンズは低価格だけでなく、接客がいいというのが評判だ。「クチコミランキング」の書き込みには、「店員さんがとても丁寧」「相変わらずの愛想の良さで、非常に気持ちいい買い物」「自由に見させてくれるところも、気兼ねなく選ぶことが出来てよかった」とある。
エヌ・ティ・コーポレーションによると、各店には認定眼鏡士と呼ばれるメガネ販売の知識をもつ店員を1人配置。購入者のニーズにあったメガネの選び方をアドバイスしているという。広報担当者は「見た目がよくても疲れるメガネだったら、残念に思うでしょう。かけ心地は大事な要素だと思います。お客さまが安心して購入できるよう、こうした取り組みをしています」と話していた。