「議員のボーナス減らさない」流れに逆らう市議会次々出現

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   不況でボーナス減額の流れが強まる中で、「生活できない」などとして、議員ボーナスの減額を拒否する地方議会が出てきている。報酬が低いと金持ちしか議員になれなくなる、という主張もあるようだ。

「議員だけでは生活が成り立たない」

   空前の大不況で、各企業が夏のボーナスを大幅に減らしている。国会でも2009年5月26日、やや甘いとの批判があるものの、議員ボーナスの2割減額に踏み切った。地方でも、人事院勧告に従って、議員や公務員のボーナス減額が相次いで打ち出されている。

   そんな中で、減額を拒否する地方議会が出て、注目を集めている。

   石川県の小松市議会は25日、6月に支給される議員の夏季ボーナス(期末手当)116万円を減額しない方針を決めた。その理由について、議会事務局では、07年に議員定数を26から24に削減して年間約2000万円の経費を削減したこと、海外視察を自粛するなどして現在の任期中に約1億円を削減する方向で努力していることを挙げる。

   その一方で、議員からはこんな声が出ていると報じられているのだ。

「議員職だけでは生活が成り立たない」
「議員を志す人が減る恐れがある」

   つまり、安い報酬では、お金持ちなど一部の人しか議員になれなくなるのではということだ。議会事務局によると、給与に当たる議員歳費が7、8年据え置きで、ボーナスもしばらく上がっていないという。その一方で、議員年金の掛け率が上がっており、実質報酬は年々減っているというのだ。

   このほか、岡山県の井原市議会も21日、ボーナス64万円を減額しない方針を決めている。議員定数を減らし議会費を削減しているという小松市と同様な理由や歳費が改定されずボーナスが減っていることなどからだ。議会事務局では、「報酬は県内では低い方なので、議員から生活できないという声も聞いています」と言う。

議員報酬を月額制から日当制に切り替え

   とはいえ、小松市や井原市には、明確に「専業」と言える議員は少なく、自営業や農業など何らかの職業を持っているケースが多い。そんな中で、果たして生活が成り立たないのか、疑問は残る。

   実際、議員報酬を月額制から日当制にして、なんとかやり繰りしている地方議会もある。福島県の矢祭町議会だ。

   同町議会では、月額20万円の歳費やボーナスを止め、2008年3月31日から10人いる議員に3万円の日当を払っている。議会出席や町のイベント参加などが出勤日だ。議員1人平均で年間40日ほど「出勤」し、支払いは120万円。これで議員報酬総額が3分の1になって年間2000万円弱の経費削減となり、子育て対策などに役立てられたという。

「実費支給なので、ボーナスなどの手当はありません。専業議員はおらず、農業などの副業を持っている人ばかりですが、昼間働いている議員にも配慮して、臨時会などは夕方に開いています」(議会事務局)

   また、専業に近く働いてもらいながらも、議員ボーナスを削減した議会もある。北海道の栗山町議会では、06年5月に全国初の議会基本条例を施行し、普通の議会の2倍もある年間100日ほどもの議会日程を組んでいる。それでも、09年5月25日に、夏季ボーナスを一般議員では4万円ほど減額して43万円にした。

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