カジュアル衣料「ユニクロ」は「安くて品が良い」と人気で、かなりの人が1着は持っている。そのせいもあって、学校や職場で被ってしまい、気恥ずかしい思いをする人もいるようだ。それで、ユニクロの服にペイントしたり、切り刻んだりとカスタマイズし、オリジナルの服にする「ユニ隠し」現象が若者の間で広がっている。
自分でアレンジして脱「ユニ被り」
無地のTシャツにガーゼやレースをつけてワンピースにアレンジ(デコ・クロ部)
2009年4月24日に東京・新宿西口に大型店舗をオープンした「ユニクロ」。今やかなりの人が1着は持っているとまでいわれ、「国民服」とも呼ばれている。
ところが出回っているがゆえに、ユニクロを着ていることが周囲にバレてしまう「ユニバレ」、他人と服が被ってしまう「ユニ被り」、といった悩みが話題になるほどだ。
J-CASTニュース「『ユニバレ』は恥ずかしいか ファッション巡って熱い議論」(09年1月27日)と題する記事で、
「ダッサくて全然構わない格好のオバチャンが、私とまるきり同じユニクロのデザインTシャツを着ていた事があって、びみょーーーーな気持ちになりました」
という意見を紹介した。
すると、記事のコメント欄に読者からたくさんの意見が寄せられ、「ユニバレ」「ユニ被り」を気にする人、気にしない人もいて賛否が分かれた。
こんなアイデアもあった。
「量産品なんだから被るのは当たり前だろ。被らない唯一のものを選ぶか機能性重視の量産品を選ぶか。 高機能だけど被るのが嫌とか言うなら自分で生地加えるなりアレンジすれば良いのにね」
「買った人がすこしだけアレンジを加えるような余地をもうけたら、ユニクロ被りのリスクも軽減されそうです」
ブログの書き込みを見ると、アレンジを実践している人もいる。
「フードのヒモとファスナーの持ち手が安っぽかったんで、両方ともレザーのヒモに変えた」
この女性はユニクロのシンプルなパーカーに、手芸屋で1メートル300円で買った革ヒモをつけた。かかった時間は5分ほど。カスタマイズした理由は「同じモノで他人とかぶってしまう」ためだった。
別の女性はユニクロのネットストアで値下がりしていたベビー服を買い、こんな風にした。
「100円均一のワッペンをアイロンでペタリ。無地の襟ぐりにはネットで購入したバイアステープを、両面接着テープで貼りました」
「ユニバレ」「ユニ被り」の対策として、ユニクロの服を自由にカスタマイズすることは、「ユニ隠し」と呼ばれている。着古したデニムやTシャツにワッペンをつける「リメイク」と異なるのは、新品に手を加える点だ。
カスタマイズ楽しむサークルも誕生
ブローチをつけるだけで、こんなに変わる(デコ・クロ部)
ユニ隠しの最先端を行くサークルも登場した。「デコ」レーション・ユニ「クロ」の略で、「デコ・クロ部」という。
デコ・クロ部の広報を担当している、OCアイランドの小笠原さんは、
「アパレルの仕事をやっている人たちが中核になって、08年12月に立ち上げました。素材選びから自分らしく工夫し、ファッションを楽しむことがデコ・クロです」
と説明する。
主なメンバーは20歳代前半~40歳代の10人だが、デコ・クロ部のネット上のコミュニティに登録しているのは100人にのぼる。手芸好きな人やリメイクを既にやっているという人のほか、初心者もいる。
「裁縫ができる、できないはあまり関係ありません。ブローチをつけたり、ペイント(塗装)をしたり、裁縫をしないものもあります。ペイントは簡単でありながら、個性が出しやすいリメイクなのでオススメです」(小笠原さん)
例えば、白いパーカーに塗装用のスプレー缶で好きな模様を描いたり、全体を染め直したりするだけで、だいぶ印象が変わる。そこに手持ちのブローチやピンバッジ、コサージュをつければ、シンプルなパーカーが一変して華やかになる。
着なくなった洋服の部品や、手持ちのアイテムを使うことが多く、材料費はかかっても1着あたり1000円以内に収まる。
最近、いろんなところで安い服を売っているが、ユニクロにこだわる理由を小笠原さんに聞いてみると、
「袖や襟の部分を切ったり、分解したりしても丈夫だから」
とのことだった。