ネットでタミフル高値売買 「個人輸入代行」摘発の可能性も

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   新型インフルエンザの国内感染者が増加しているのを受け、インターネット上では治療薬「タミフル」が高値で取り引きされている。多くが海外から輸入した「国内未承認薬」で、こうした薬をネットで扱うと、薬事法に抵触する可能性があり、厚労省も「違反が見つかれば指導していく」としている。

薬価の2~4倍

   インターネットで「タミフル 購入」と検索すると、大量のサイトがヒットする。そのほとんどが「個人輸入代行」の業者サイトで、タミフルが「リトアニア版 10錠8300円」「スイス製の純正品 10錠1万2000円」といった価格で販売されている。正規の薬価は10錠で3091円なので、2~4倍だ。ある業者は「一週間ほど前から問い合わせが殺到しています。タミフルだけでなく、リレンザも売れますね」と話す。

   また、別の業者は、

「業界全体でタミフルが手に入りにくくなっています」

と明かす。

   当初は、多くの輸入代行業者がスイス製タミフルを取り扱っていたが、新型インフルエンザが確認された2009年4月末から入手困難となり米国製に移行。その後、米国製も難しくなったため、現在はトルコ製やリトアニア製が主流だという。リトアニア製は輸送費等がかかるためか、スイス製より1~2割高くなっているとのことだ。

   だが、こうした業者は薬事法に違反する可能性もある。現在、国内の輸入販売元として国から承認されているのは中外製薬のみ。それ以外の薬は「未承認薬」となる。厚労省の担当者によると、「個人輸入」や「輸入代行」行為自体は違法ではないが、

「未承認薬を『広告』することは薬事法違反となります」

という。

「タミフル輸入代行できます」は「基本的にアウト」

   薬事法の「広告」の定義は「顧客を誘引する意図が明確であること」「特定の医薬品だと分かる商品名が記載されていること」そして、「一般人が認知できる状態であること」の3つで、全ての要件を満たすと「広告」と見なされる。例えば、インターネット上で日本国内向けに「タミフル輸入代行できます」と表示することは「基本的にはアウトですね」。誰でもアクセスできる状態ならば、「タミフル」はもちろん「タミフル 購入」と検索してヒットするだけでも違反となる可能性があるという。

   一方、ある業者は、

「トップバナーで『タミフル残りわずか、お急ぎください』と表示したら違法です。そこのところに気をつけ、サイト内検索で商品名を入れないと商品ページに辿り着けないようにしています」

といい、違法にならないよう工夫していることを強調する。実際、多くの業者がサイト内検索からでないと商品ページに辿り着けなくすることによって、「広告」には該当しないとしている。これに関しても、「個別の判断になりますが、例えば『タ』と入力しただけで、他の薬と一緒に一覧でタミフルが出てきた場合などは違反になる可能性があります」。

   厚労省は現在、タミフルに関しては「現状把握の段階」としているが、他の薬品同様、違反があれば指導していくとのことだ。また、「未承認薬は偽造品だったり、有害物質を含んでいたりする可能性もありますので、一般の方は医療機関を通して服用してください」と注意を呼びかけている。

   また、タミフルだけでなくマスクもネットで高騰している。ヤフーオークションでは、100円で出品された「マスク90枚」が2万1000円で落札される例もあった。2ちゃんねるには「マスク転売で12万儲けたwww」との書き込みもあり、業者も個人も今を商機と躍起になっているようだ。

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