関西で「新型インフル大不況」 「旅館」「ホテル」「百貨店」が悲鳴

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キャンセル相次ぎ、旅館、ホテルが悲鳴

   観光客やビジネスマンが遠のき、宿泊のキャンセルも深刻だ。

「修学旅行に限らず一般客からもキャンセルが相次いでいて、合計36万2000人分、損失額はおよそ43億円に上ります。ほとんどが資本金1000万~2000万円という中小規模の旅館なので、お客が来ないと従業員の給料をまかなえません。やむを得ず臨時休業するところも出てきています」

   国際観光旅館連盟近畿支部の事務局長はため息交じりに説明する。

   同支部は09年5月17~19日の3日間、大阪、京都、兵庫、奈良、和歌山、滋賀の195の旅館にキャンセル状況を聞いた。3日間に宿泊するはずだった客と、同期間にキャンセルを申し込んだ客の両方が含まれている。

   内訳は、京都16万8000人(このうち15万人は修学旅行)、奈良5万5000人(修学旅行3万人)、兵庫7万7000人、滋賀2万8000人、大阪1万8000人、和歌山1万6000人。

   また、キャンセル料については、当日の場合は全額が対象になるが、それ以外では10~50%程度で「大した額にならない」。

   やむを得ず、国土交通省や中小企業庁に5月21日、緊急融資を要望した。

   出張利用の多いビジネスホテルも深刻だ。西日本ホテル協会の担当者は、

「企業が営業活動や出張を自粛しているので、キャンセルもありますし、今は予約がほとんど入らない状態です」

と嘆いている。

   少しでも利用者を増やそうと、ホテル入り口やレストラン入り口前にアルコール消毒液を置いたり、全館アルコール消毒を行うといった対策をしているホテルもあるが、「意外にコストがかかる」という問題もある。

「常連客に話を聞いたところ、6月から営業活動を再開する企業もあるそうです。なんとか5月を乗り切れれば・・・」

   倒産する企業も出てきた。

   関西空港など3つの空港に出店する玩具小売りの「いせや」(大阪市)は大阪地裁から破産手続き開始決定を5月21日に受けた。負債額は関連会社を含めて2億9400万円。

   円高で海外からの来日客が減少したことに加えて、新型インフルエンザの流行で空港利用客が激減し、売上げが維持できなくなった。

   帝国データバンクの情報部担当者は、

「新型インフルエンザの影響で倒産に至ったケースは、これが初めてです。SARSやO157がはやった時は旅行会社が倒産したり、食品会社にも影響が出ており、今回と似たような状況だと言えます。国やメディアの新型インフルに対する扱い次第では、体力のない中小企業の倒産はあり得るだろう」

と話している。

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