マスクが手に入らない――。スーパーやドラッグストア、100円ショップでも品薄状態が続いている。そのせいか、自分で作ろうという動きも出てきた。一体いつになったら異常事態は解消されるのか。
「入荷10分で売り切れ」
「マスクを購入しようとしたら。ドラックストアでは売り切れ。出遅れてしまった」
「近所のドラッグストアでも、なんとマスクが足りない事態が発生しておりまして。欲しいと思っても、すぐには購入できないみたいです」
「関東圏でも感染された方がいらっしゃいますね。(中略)なのにマスクがどこも売り切れ」
個人のブログには、こうした記述が2009年5月21日以降、立て続けに書き込まれている。神奈川県川崎市の洗足学園高校に通う女子高生2人が前日、新型インフルエンザに感染していたことが確認された。首都圏での感染確認は初めてで、急いでマスク購入に走った人もいた。マスク不足は全国的に広がっており、買い置き、または知人や親戚に送るために購入しているようだ。
実際、関東圏内の複数のドラッグストアやスーパーに問い合わせたところ、「マスクは完売です。入荷は未定です」「売り切れです。ちょっとずつ入荷があっても、すぐ売り切れちゃう状況です」。100円ショップ「ダイソー」の広報担当者も「店舗によってばらつきがあるが品薄」と説明している。
関東圏を中心にドラッグストアを運営するセイジョーでは、1店舗あたり、1日20~30セットのマスクが入荷されている状況だ。が、まとめ買いする人が多く、すぐに売り切れてしまう。こうした状況に、個人のブログでは「入荷10分で売り切れ。入荷した現場に出会った方はラッキー」などと報告されている。
なお、インターネット販売のケンコーコムでも「現時点では、すぐにお届けができない状態が続いています」と明かす。実際、注文画面には、ほとんどの商品が「メーカー欠品中です」との表示が出ていた。
中国産が6月以降に出てくる
もっとも、メーカー側は増産体制を整えている。医療品メーカーの興和は、「ゴールデンウィーク中もそれ以降の土日も返上し、残業を続けながら生産に急いでいる。それでも、供給が追いついていない状況」と説明する。5月上旬だけでも例年の約50倍のマスクを出荷してきたという。
では、いったいいつ、このマスク不足の状況が改善されるのだろうか。メーカー41社が加盟する日本衛生材料工業連合会ではこう見ている。
「各社の事情があり明確には言えませんが、増産や流通の状況を見れば、来週に入れば少しは緩和されると思います。そして、中国の工場で生産されて、輸送に時間がかかっていたものが、6月以降には出回りそうです。その頃には状況も落ち着いているように思います」
ちなみに、このマスク不足の中、話題になっているのが新潟県の片貝医院がホームページに掲載した「ペーパータオルでマスク作り」。はてなブックマークには100件ほどのブックマークがつき、「ナイスアイデア」「たくさんお店探し回って、なかったーって困ってたお母さんに教えてあげよう」「これならどこでも手に入りそうです。 これはすごい」と評判を呼んでいる。
ホームページの作り方に従えば、「ペーパータオル」「輪ゴム」「ホッチキス」を用意する。ペーパータオルはジャバラ状態に折り込み、その両端には輪ゴムをのせ、ホッチキスで留めるという簡易なものだ。片貝医院によると、このページを新設したのは5月17日。担当者は「マスク売り切れに応じた、院長のアイデア」と説明している。